月刊JTMレポート : 2007年10月号
研究員 村山 慶太
これからの注目デスティネーションと、その魅力度アップを図るための効果的プロモーションは?今年の旅行博の各国の取り組みなどを振り返りつつレポートする。
「JATA世界旅行博2007」が、9月14日から16日まで東京ビックサイトで開催された。今年の旅行博には、134の国・地域から772企業・団体がブースを出展し、過去最高の出展者数となった。来場者数も10万人を上回り、過去最高を記録した。海外旅行者数が伸び悩んでいる日本市場に対して、諸外国が依然として高い期待を抱いていることの表れともいえる。
今年の旅行博のテーマは「旅の力」。各国の踊りや音楽、グルメ、マッサージやスパトリートメントの体験コーナーなど、各デスティネーション固有の「旅の力」が体感できるようなブースの出展が多く見られた。日本市場にとって新しいデスティネーションが熱心にプロモーションする様子からも、「旅の力」が溢れていた。
インドのブースでは、インド式マッサージやヘナタトゥーの体験は多くの来場者の人気を集め、サリーに身を包んだ美女のダンスショーもマサラムービーのように賑やかであった。アフリカ各国の出展も年々増えてきている。大自然、音楽、グルメ、特産品などの展示やパフォーマンスを通じて、アフリカのパワーを身近に体感することできた。2010年に南アフリカで開催されるFIFAワールドカップを切り口とした観光プロモーションも、これからさらに活発になるだろう。
今年の旅行博で特に目立っていたのは中東。ラマダンのテントが体験できるコーナー、アラビアン音楽の演奏、ナツメヤシやピスタチオなどの味覚で中東の魅力をアピールした。ドバイのブースは、新しい豪華ホテルが続々と開業する街の勢いを象徴するかのように、ゴージャスなアラブのイメージでまとめられていた。
日本でのドバイの人気は急速に高まっているが、観光デスティネーションとしての中東地域全体の認知はいまだ限定的である。中東がデスティネーションとして持続的に魅力を高めるためには、今のドバイ人気をテコに、ドバイ以外のペルシャ湾岸諸国と連携した観光マーケティングを展開することが重要であろう。その成功例は、オマーンに見られる。オマーン政府はアラブ首長国連邦(UAE)政府と連携し、ドバイ―マスカット間のフライト増便などの振興策を実施した。その結果、多くのランドオペレーターがドバイ発のオマーンツアーを発売するようなった。今やオマーンは、ドバイとセットで訪問できるペルシャ湾のリゾートとして、ヨーロッパ・中東諸国・南アジアなどの市場で注目されている。
旅行博に先立って開催された国際観光会議の事前アンケートで、ツーリズム業界関係者に「日本人海外旅行マーケットの活性化のために何が必要か?」について質問した。その回答には、「商品内容の多様化」、「あたらしいデスティネーションの開拓」、「テーマ性・顧客層を絞り込んだ高品質商品の開発」など、商品開発力向上についてのコメントが多くみられた。消費者の海外旅行慣れや海外旅行離れに対する危機感がここに表れている。
日本政府は「2010年海外旅行者2000万人」の目標を発表した。この計画を達成するためにも、自国の観光資源を魅力的に紹介するプロモーション活動とともに、周辺国や地域との連携による新たな「デスティネーション」や「旅のかたち」の開発が、今後の「旅の力」になることを期待したい。
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