月刊JTMレポート : 2007年11月号
執筆 : 竹村千鶴子(客員研究員)
インターネットによる旅館・ホテル予約の分野では、これまでネット専業の「楽天トラベル」がJTBを大きく引き離し独走してきたが、近年、同じネット専業の「じゃらん」が楽天を猛追し、いまや「楽天」「じゃらん」は同分野の2大勢力となりつつある。
両サイトの取扱高の推移を見てみると、2003年度(03年4~04年3月)に「楽天」が957億円、「じゃらん」が273億円だったのが、2006年度(06年4月~07年3月)には「楽天」の1631億円に対し、「じゃらん」が1105億円にまで迫っている。05年度以降、「楽天」の取扱高には海外旅行も含まれるため、これを除けばその差はさらに縮まる。
「楽天」は、その前身である「旅の窓口」が96年に“場貸し”と呼ばれる新しいビジネスモデルでネット予約事業を開始。売れ残った客室を間際で売りさばきたいという宿泊施設や、旅行会社との契約がない小規模宿泊施設のニーズを汲み取り急成長を遂げたことから、同様のモデルでさまざまな予約サイトが誕生したが、先行する「楽天」との差を縮めることはできなかった。一方、「じゃらん」は旅行情報誌『じゃらん』のネット版という位置づけで、同誌に広告を出している民宿・ペンションを中心とした品揃えで2000年にネット予約事業をスタート。ビジネスホテルに強い「楽天」に対抗するのではなく、『じゃらん』の購読者層=レジャー目的の若年層を最初に取り込んだことが、数ある予約サイトの中から頭ひとつ抜け出すきかっけとなったようだ。その後、「じゃらん」は旅館・ビジネスホテルを、逆に「楽天」は旅館・民宿・ペンションの登録誘致に力を入れ、互いに登録施設数を増やしてきたが、そろそろ頭打ちの傾向を見せ始めている。
「じゃらん」急伸の要因として語られるのが、全国に200人以上を配置させている営業担当者の存在。もともとは雑誌『じゃらん』の広告営業を担っている彼らが、新たな登録施設の開拓や、施設側とのコミュニケーション強化に力を発揮している。サイトへの登録施設数が伸び悩むなか、宿泊施設からできるだけ多様な宿泊プランを提供してもらうことが成長の鍵だとする「じゃらん」は今年、サイトをリニューアル。宿泊施設に対する働きかけも強めているが、こまめで熱心な営業の対応を評価する宿泊施設は少なくないようだ。
しばりのない“場貸し”モデルの予約サイトとして、既存の旅行会社のサイトとは大きく差をつけてきた両者ではあるが、一昨年、楽天が部分的に旅行会社と同じ“ブロック契約”を採用し、従来どおり“場貸し”を希望する施設には手数料の引き上げを行ったことから宿泊施設側の反発を招いた。ただし、ブロック契約を結ぶことによって、場貸しモデルの弱点だったオンデイや先の在庫を手に入れることができる。これに対し、「じゃらん」は従来の“場貸し”モデルに徹するという。両者の方向性の差が今後、ビジネスの伸びにどのような影響を与えていくかが注目される。
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