山梨県北杜市が長期滞在型リトリートの杜づくりをスタート

月刊JTMレポート : 2007年11月号

カテゴリ : 国内旅行

執筆 : 石田雅之(研究員) 

~低迷する宿泊旅行の中、新たな長期滞在型基盤整備へのチャレンジ~


山梨県北杜市は、県の中央に広がる甲府盆地の北西部に位置し、周囲を八ヶ岳連峰、南アルプス等の美しい山々に囲まれた人口約5万人を有する市である。
平成の大合併により清里で知られる高根町、小淵沢町を始めとする周辺の8町村が合併して出来たこの新しい市の主要業種は観光業であり、八ヶ岳を始めとする豊富な自然環境等の観光資源に恵まれている。首都圏から車・電車で2時間程度と比較的近く、また、大河ドラマ「風林火山」のロケ地に選ばれた効果もあり入込客数は好調に推移している。
一方で、宿泊客数は減少の一途を辿っている。宿泊するのは入込観光客数(722万人、平成18年)の1割程度である。宿泊客の季節波動が大きいため、市内の宿泊施設は雇用の場としての安定性を欠いており、北杜市観光の構造転換が緊急かつ重要な課題となっている。
これを受けて、昨年、商工会、北杜市、公益法人、民間事業者等によって、シニア世代を対象とした長期滞在実証実験「ステイタス」が実施された。この実験で、東京からの距離の近さ、リピートのし易さなど北杜市の優位性を発見することができた。この成果を今後の地域活性化に結びつけるため、北杜市は、2007年6月に全国に先駆けて「長期滞在型リトリートの杜」づくりを宣言している。
「リトリート」を、「自分らしい上質な時間とひとときの癒しの空間」と定義し、都会生活に疲れた人がリフレッシュできる場の提供を目指している。宣言を具現化するため「長期滞在型リトリートの杜推進委員会」が設置された。同委員会では、自然を中心とした豊かな地域資源を活かした体験メニューの整備や、地域住民と文化に触れるための環境づくりを進め、体験メニュー等を活用した長期滞在者向けの商品開発及び販路開拓等につなげていきたいと考えている。
上記の取り組みのほか、11月からはメンタルヘルス分野へも領域を拡大し、大手企業の従業員をターゲットとした「ビジネスリトリート」の基盤整備および実証実験がスタートする。
これらの長期滞在に向けた取り組みにより宿泊客数の低迷に歯止めがかかるか、北杜市の新たなチャレンジに注目したい。

北杜市の観光客数及び宿泊客数(山梨県観光客動態調査結果(峡北圏域)による)

  入込客数 増減(対前年) 宿泊客数 増減(対前年)
平成15年 6,700,629人 887,990人
平成16年 6,766,919人 △0.99% 804,996人 ▲9.35%
平成17年 7,267,456人 △7.40% 750,592人 ▲6.76%
平成18年 7,218,133人 ▲0.68% 734,628人 ▲2.13%

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