眠るだけで、年間最高「300ドル」

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アメリカ健康保険会社エトナのユニークなプログラム、7時間以上の睡眠時間を20日達成すると25ドル、最高で年間300ドルの褒賞金
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エトナ

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アメリカの健康保険会社、エトナは「従業員の睡眠時間を増やすことで仕事の効率を上げよう」というユニークなプログラムを始めました。プログラムに参加したエトナの従業員は7時間以上の睡眠時間を20日達成すると25ドル、最高で年間300ドルの褒賞金を手にすることができます。プログラム開始2年目となる2015年には全従業員の約35%が参加する人気のプログラムとなりました。参加者はただ自分が寝た時間を自己申告し、会社側は従業員を信頼して特にチェックもしないシンプルなシステムも人気の秘訣です。

質の良い睡眠を取ることが仕事の効率アップにつながることは、近年、様々な研究から明らかとなってきました。アメリカ睡眠医学会のレポート(2011年)によれば、勤労者は不眠症などにより、平均で年間11.3日分の就労、あるいは2,280ドルの生産性を失っており、アメリカ全体では63.2兆ドルもの損失となると算出されました。

また昨年、カリフォルニア大学の研究チームは「1日の睡眠時間が6時間以下の人は、6時間以上の睡眠を取っている人より4倍以上も風邪をひきやすい」という研究結果を発表しています。

グローバル競争の激化やデジタル技術の進化などにより、インターネットを通じてもたらされる情報は大幅に増え、もはや私たちにとって7時間も8時間も睡眠を取ることは贅沢なことになってしまったのかもしれません。

また多くの人たちが、睡眠を削り頑張って働くことが成功につながると考えていますが、睡眠に関する研究結果は逆の結果を示唆しています。睡眠の改善によって成功を引き寄せたよい実例がハフィントンポストを立ち上げたアリアナ・ハフィントンです。彼女は1日18時間以上も働く生活を長年続けた後、睡眠時間を延ばし、人生を劇的に変えることに成功しました。彼女の言葉によれば「あらゆる科学的なデータが、十分な睡眠をとるほど生活のすべての側面が改善されると断言しています。精神的な余裕と明晰さ、人生に対する喜び、悪いことが起きても左右されずに過ごせる力、といったものが得られる」のです。

もう少し、睡眠を取ってみませんか?