強盗発生率 -93.6%

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スウェーデンではキャッシュレス化により2008年に110件あった強盗の発生件数が2015年には7件にまで激減

スウェーデンではキャッシュレス化により2008年に110件あった強盗の発生件数が2015年には7件にまで激減
Source
Le Monde, The Guardian, SEB Group

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スウェーデンは1661年にヨーロッパで初めて紙幣を使い始めた国です。しかしながら、スウェーデン王立工科大学は先ごろ、「スウェーデンには遠くない将来、世界に先駆けてキャッシュレス社会が到来する」というレポートを発表しました。

スウェーデンのキャッシュレス化への動きは、クレジットカードが普及した20年前から始まっていましたが、2012年に国内の銀行各社が手を組み、統一した規格による電子マネーアプリをリリースしたことで急速に利用が促進されました。今では、決済の約80%が電子マネーやクレジットカード、インターネット上で行われるまでになりました。日本ではまだ電子決済の割合が50%にも満たないことを考えると、スウェーデンはキャッシュレス化が大きく進んでいると言えます。

既にスウェーデンでは、バスや一部のタクシーは現金が使えません。現金が使えない小売店も増えてきています。それはなぜでしょう。答えは強盗を避けるためです。現金を利用しない交通機関や店が増えたことによって、2008年に110件あった強盗の発生件数は2015年には7件にまで激減しました。

このような急速なキャッシュレス化は国の働きだけではなく、国と民間企業が一体となって取り組んだ結果だと言えます。2010年から2012年までの2年間で、銀行の約500支店が完全オンライン店舗に転換、900のATMが撤去され、ヨーロッパの中でも最もATMが少ない国の一つとなりました。

完全なキャッシュレス化には、まだ解決しなければならない様々な問題がありますが、スウェーデンの事例は、社会の安全性を高める先進事例としてお手本になりそうです。前述のとおり、日本では5割以上を現金決済が占めていますが、今後キャッシュレス化が進めば、今でも定評のある日本の安全なイメージをさらに強固なものとすることができるのではないでしょうか。
またスウェーデンだけでなく、香港やイギリス、オランダなど世界の様々な国でもキャッシュレス化は進んでいます。2020年に向けて増加が予想される訪日観光旅行者は、そんなキャッシュレスがあたりまえの社会から来るのかもしれません。そのような旅行者にどのように対応し、利便性を高めることができるのか、今から考えていく必要がありそうです。