JTB総合研究所の「考えるプロジェクト」 

1月9日開催『観光危機管理考えるプロジェクト』第3回研究会実施のご報告

2014.01.10 河野まゆ子  JTB総合研究所 主席研究員

trend_20140110_01株式会社JTB総合研究所は、2014年1月9日、『観光危機管理 考えるプロジェクト』研究会(第三回)を開催しました。
今年度の研究会最終回にあたり、参加者が実際に携わっている観光危機管理に関する取り組みや実際の対応事例等についての最新情報を共有いただくとともに、取り組みの参考になると考えられる海外における観光危機管理に関する事例を紹介しました。


研究会概要

  • 参加者による、観光危機管理に関する取り組み内容や障壁、実際の対応事例の共有
  • 観光危機管理に関する取り組み ~海外事例の紹介~

山梨県および静岡県では、富士山の世界文化遺産登録を受け、登山者の安全確保に関する取り組みを強化しています。“弾丸登山”の抑制による事故発生確率の低減、噴火を想定した入山規制や体制づくりなどについて具体的な議論と取り組みが進んでいます。同じく構成資産のひとつである三保松原を有する静岡市では、急激な観光客増を踏まえて、災害が発生したときの対応も視野に入れながら、観光地としての基盤整備を推進しています。富士山と関連する構成資産の世界文化遺産登録に伴い、観光客を増加させるための取り組みにとどまらず、観光客の安全確保に関する検討がスピード感を持って推進されていることを実感しました。
滋賀県では、2013年に発生した台風18号により、大津-京都間の交通が寸断されました。県内各地から県内外の多くの人が大津方面へ移動をしたことにより大規模な渋滞が発生し、交通規制や代替輸送機関に関する課題が浮き彫りになりました。交通事業者や宿泊事業者がそれぞれ個々に対策を講じるだけではなく、連携した対策や仕組みのありかたを示す事例であったと言えます。

海外事例では、オーストラリアにおける観光危機管理計画のありかたや、インドネシアの民間企業が実施するホテルの津波対策促進および格付け機能、プーケットで実施されている津波避難訓練などについて紹介しました。
海外の観光危機管理専門家からは、日本の避難訓練のことを「訓練がつつがなくうまくできることを目的としており、実効性が低い」という指摘を受けています。訓練は、不足していることや現状における対策の穴を発見するために行うべきものです。訓練シナリオにアドリブの条件を設けるなど、“基本指針に則ってその場で判断し行動するための訓練”となるよう、今後の訓練設計の際に生かして頂きたいと考えます。
また、参加者からは風評被害の収束のさせかた、風評被害を最小にとどめるためのメディア等とのコミュニケーションに関して大きな関心が寄せられました。自治体等においては、観光客数が落ち込んだ際に観光キャンペーンを実施することが常です。適切な実施時期、消費者の心に響く適切なメッセージや情報提供のあり方など、効果的な観光キャンペーンを実施する際には、観光危機管理の考え方は非常に有効なものです。“現時点では情報をどこからとればいいかもわからない。情報収集と発信の仕組み検討は重要事項”と語る参加者も多く、今後の取り組み推進が期待されます。

2014.01.10河野まゆ子 JTB総合研究所 主席研究員

JTB総合研究所では観光危機管理の実務支援を行っています

観光危機管理マニュアルの策定支援、現状把握調査、セミナー・シンポジウムの実施等、行政や企業での
豊富な実績とノウハウをもとに、観光危機管理の支援・コンサルティングを行っています。