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ひとつの視点

冒険フルな人生を!

エドワード トゥリプコヴィッチ 片山

客員研究員

公開日

アドベンチャーツーリズム(AT)は、人々の志向の多様化に伴って観光のあり方が変化する中、今後の将来性に大きな期待がもたれている分野です。しかしながら、ATの目的地として日本を思い浮かべる海外の旅行者は、まだそう多くはありません。

「80日間世界一周」など、心躍る新世界への冒険を描いたジュール・ヴェルヌの小説は世代を超えて読み継がれ、世界一周旅行、宇宙旅行、海中旅行など、描かれた内容の多くが後世に実現することとなりました。

一説によれば、全世界の20%の人は旅好きな「冒険家の遺伝子」を持っているそうです。旅先での登山、森の中のトレッキングや、犬ゾリ、馬、象などに乗って知らない土地を探検する、バンジージャンプやスカイダイビングでスリルを味わう、など、様々な忘れられない思い出を持っている人も少なくないのではないでしょうか。そう考えると、冒険は人々の人生に幸福や満足、ちょっとしたアドレナリンで刺激をもたらす、カンフル剤のようなものなのかもしれません。

アドベンチャーツーリズム(以下AT)は観光の世界では決して新しい概念ではありませんが、人々の志向の多様化に伴い従来型の観光旅行が変化する中で、今後の将来性に大きな期待がもたれている分野です。グローバル調査会社、アライドマーケットリサーチのレポート(2018年1月)によれば、2016年における世界的なATの市場規模は約45兆円、年平均で17.4%成長し、2023年には134兆円に達すると推計されました。アジアにおける成長率は最も大きいと見込まれていますが、その中でも、四季や海・山など類まれなる自然に恵まれた日本が持つATのポテンシャルは計り知れないと考えられます。北海道の雄大な氷の平原を歩く、水平線ならぬ“氷平線ウォーク”、与那国の海底遺跡ダイビング、屋久島の縄文杉など例をあげればきりがありません。しかし、残念ながら現在、ATを目的とした旅行先として、日本を思い浮かべる海外の旅行者は、あまり多くないこともまた事実です。最近の日本は人気の観光旅行先として海外から多くの旅行者が訪れるようになりましたが、冒険を楽しむ目的地としての認知はまだ不十分なのです。

世界中の冒険心あふれる旅行者の地図上の日本にピンを立ててもらうためには、ホームページでの広告宣伝や情報提供、展示会などへの参加だけではなく、もっと積極的なアプローチが必要です。AT関連の旅行に特化した海外の旅行会社や、団体とタッグを組んだ商品開発やプロモーションなども一案でしょう。日本では数時間から半日程度の軽いアクティビティが中心ですが、海外で人気があるような、数日間じっくり時間をかけて体験できるようなプランづくりも今までにない需要を掘り起こすことにつながると考えられます。

また、変化の著しいインターネットやSNSを上手く活用することも重要です。例えばインスタグラムには、見ている記事の位置を登録・検索できる機能があります。インスタグラムの利用者は、そこがどこなのか正確には知らないまま、その場所へ行くための航空券を予約することもできるのです。このような動きは旅行や予約の概念を根本から変えることにもなりますが、活用次第では、情報さえ届けられれば、それがそのまま旅行という現実の行動につながる可能性も期待できます。

ATは自然や動物などとセットで語られることも多い分野ですが、それだけではありません。個人的には、どんな旅行も何かしら新しい発見をもたらしてくれる冒険だと思っています。何かを“体験”したい気持ちや行動さえあれば、ATをもっと広く捉えることができ、もしかしたら街中でも素晴らしい冒険の旅に出ることができるかもしれませんね。

著者

客員研究員

仏パリ生まれパリ育ち。在京クロアチア大使館の観光担当を経て、2005年日本国際博覧会(愛知万博)のクロアチアパビリオンの代表としてPR活動に従事。その後クロアチア政府観光局東京事務所の局長として、クロアチアを日本人にとって新しい魅力的なデスティネーションに育てる。2014年から2015年駐日外国政府観光局協議会会長、2016年からGood Idea合同会社社長、トラベル懇話会理事、2021年から一般社団法人日本クロアチア協会代表理事、SKAL INTERNATIONAL TOKYO理事などを務める。クロアチア、フランス、カナダ、日本に居住経験を持つ。

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