ヘルスツーリズム・マーケットの特性

デジタルの広がりと共に、社会構造が急速に変化する現代では、人々の価値観やライフスタイルは多様化し、旅行スタイルも、物見遊山で画一的な行動から、個人の趣味や自己実現の手段として多様化しています。さらに新型コロナウイルスで健康への関心は高まり、今後の旅行で重視したいことに「健康管理」がコロナ禍以前より増えています(JTB調べ)。健康管理とツーリズムは親和性が高く、旅行者、健康な生活と医療費の削減、地域活性化の両面でヘルスツーリズムには期待がかります。

ヘルスツーリズムの対象領域

ヘルスツーリズムの「ヘルス」は、疾病の予防と連動して考えられます。これまで、疾病予防は3段階で示されていました。

  • 一次予防:病気にならないための処置や指導(生活習慣の改善、健康教育など)
  • 二次予防:早期発見、早期治療
  • 三次予防:後遺症、再発防止、リハビリテーションや社会復帰など

近年、「0(ゼロ)次予防」という考え方が広がっています。「0次予防」とは、一次予防の前段階で、病気を招く生活習慣を改善する環境づくりや意識づけです。長寿社会になり、健康寿命を延ばすために、若いうちからの0次予防が重要です。ヘルスツーリズムは、0次予防と一次予防が対象領域とし、ツーリズムを活用し、若い世代も楽しみながら健康増進を行い、健康な社会の形成に寄与していきます。

疾病予防におけるヘルスツーリズムの対象領域

  • 一次予防:病気にならないための処置や指導(生活習慣の改善、健康教育など)
  • 二次予防:早期発見、早期治療

人々の健康意識と地域の健康資源

日頃から、多くの人々が健康に気を配っています。

日頃から健康に気を付けていること

日頃から健康に気を付けていること

健康のためにお金を使ってみたいこと

健康のためにお金を使いたいと思うこと

旅先という転地した空間の中で新しい挑戦をして成功したり、身近な手本となる行動を体験するなど、自信を高めることのできる機会がたくさんあります。これによって、「自己効力感(セルフエフィカシー:ある行動がうまくできるという自信)」が高まる可能性が期待できます。旅行体験が、健康への意識付けや生活習慣改善のきっかけづくりの場に適しているいえます。人々が日頃健康で気を付けている「休養」、「食事」などは、旅先で、温泉、ヨガ・ピラティス、スパ、その他さまざまな資源やプログラムによって楽しく実践することが可能です。温泉、自然、食などの地域の様々な資源を改めて健康資源として見直し、魅力付けし、ヘルスツーリズムとしての受け入れ体制の基盤づくりをすることにより、地域のブランド価値向上につながります。

新しい働き方とヘルスツーリズム

コロナ禍で変わる働き方~ワーケーション~

コロナ禍による外出自粛で、テレワークが急速に広がりました。若い世代を中心に、「仕事はテレワークで済む」、「働く場所にはこだわらない」という考え方が広がっています。一方、コロナ禍でも、若い世代の旅行への意欲は高く維持されています。このよう中、自然の多い地方やリゾートで仕事をする「ワーケーション(ワークとバケーションによる造語)」が注目されています。

現在、ワーケーションは、労務関係などの制度面のほか、ヘルスケア、つまり健康の維持・増進のための行為や健康管理の視点でも課題がみられます。ヘルスツーリズムを活用して健全なワーケーションのしくみを構築することが必要です。

「秘密の場所」をテーマに進めるヘルスケア

長野県木曽町(一般社団法人木曽おんたけ健康ラボ)

標高1,100~1,300m。真夏でも平均気温が18度という「開田高原」。「ガイドブックに載っていない旅を」というコンセプトで、ユニークなヘルスケアプログラムを豊富に展開しています。

目的

生活習慣病予防

ポイント

ウォーキング ホースセラピー 森林療法
木曽馬

沖縄の聖地に癒される「逃げ旅」 

沖縄県南城市(イーストホームタウン沖縄株式会社)

自宅でも、職場や学校でもない、第三の場所「サードプレイス」としての「逃げ旅」。

目的

メンタルケア

ポイント

ホースセラピー マインドフルネス 海洋療法
マインドフルネス