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ひとつの視点

トレーディングカードから考える「触れること」の価値

鈴木 裕太
公開日

トレーディングカードは資産。一部界隈ではそのような捉え方をされていますが、紙のカードになぜ資産的価値が生まれるのか、「触れること」を起点として紐解いてみます。

皆さんは「カードゲーム」と聞いて、トランプを用いたポーカーや神経衰弱を思い浮かべる方もいれば、スポーツ選手やアニメ・ゲームのキャラクターが描かれたトレーディングカードを想起する人もいるかと思います。最近では、「トレーディングカードは資産」という言説を耳にしたこともあるかもしれません。今回はそんなトレーディングカードの「リアル」の価値に注目してみたいと思います。

トレーディングカードとは、名前の通り収集し、交換(トレーディング)することを目的として作成されたカードです。収集や交換を目的としているためにカードごとに出現率(封入率)に差異を持たせることで意図的に「レアなカード」を作成しています。これがトランプなどの伝統的なカードとの大きな違いです。また、このようなトレーディングカードにゲーム的要素を付け足したものがトレーディングカードゲームと呼ばれます。一般社団法人日本玩具協会の「2025年度国内玩具市場規模」1)によると、2025年度の「カードゲーム、トレーディングカード市場」は3,384億円と推計され、2019年度の1,133億円2)から約3倍となっており、コロナ禍を経て大きく成長した市場であると分かります。

このような急成長を遂げているトレーディングカード市場ですが、その要因としては社会的にキダルト層(子ども向けとされる商品・コンテンツを求める大人)が増加していること、訪日インバウンド層が増加していることなどが主な要因として考えられます。この2つの層が中心となり消費が促進され、売買されるカード単価も上昇し市場規模が成長しているのです。一方で、トレーディングカードが所謂「資産」となるまでには純粋なカード単価の上昇という要因だけではなく、「実際に触れること」、つまり「リアル」でしか創出できない価値が重要だと考えます。実際のカード(実物)に触れることで、本物らしさや実在する安心感、所有による満足感が創出されるはずです。トレーディングカードの定義に内包されている「収集」、「交換(売買)」という行為や、「玩具」から「資産」という存在への昇華には、「本物らしさ」や「安心感」、「満足感」という価値が根底に存在している必要があるのではないでしょうか。だからこそ、トレーディングカードは現在でも紙というリアル媒体が主流であり続けているのだと推察します。

今回はトレーディングカードを起点に、「触れること」の価値を少しだけ深掘りしてみました。そして「触れること」の価値はカードゲームに限らず、旅などにおいても同様です。例えば、旅先の自然の中で土や水に触れるといった体験は強く印象に残り、その体験の質を飛躍的に向上させると言えるでしょう。様々なモノ・サービスがデジタル化されている現代だからこそ、「触れること」の価値を見つめなおしてみるのはいかがでしょうか? 

ケースに入れられて保管されるカード

 

参考文献

1)    一般社団法人日本玩具協会、「2025年度国内玩具市場規模」(最終閲覧日:2026/6/24)
2)    一般社団法人日本玩具協会、「2020年度国内玩具市場規模」(最終閲覧日:2026/6/24)
 

著者

鈴木 裕太

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