アジア太平洋地域に住むペットオーナーの68%
アジア太平洋地域に住むペットオーナーの68%がペットとの特別な体験を求めています
- Source
- Euromonitor International “2024 Voice of the Consumer survey“
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ユーロモニターインターナショナルの2024年消費者調査によると、アジア太平洋地域に住むペットオーナーの68%が、ペットとの特別な旅行体験を求めています。これは世界的に見ても最も高い割合であり、同じ調査で回答者の66%が「モノより思い出」を重視していることからも、体験型消費への関心の高さが伺えます。特にアジア太平洋地域では、2019年から2024年にかけてペットの数は年平均2.4%増加しており、DINKWAD(共働きで子供がなく犬がいる)世帯の増加も相まって、ペット関連消費は拡大傾向にあります。
日本においても、株式会社バイオフィリア(ココグルメ)の「ペットツーリズムの需要調査」(*1)では、愛犬家の96.3%が「愛犬を旅行に連れていきたい」と回答し、95.8%が旅行先を選ぶ際にペット同伴可否を考慮すると回答しています。まさに、ペットとの旅行へのニーズは非常に高いと言えるでしょう。
しかしながら、日本の現状は必ずしもペットフレンドリーとは言えません。鉄道ではペット専用車両の試験導入が始まったものの、依然としてキャリーバッグに入れての移動が主流です。航空機も予約手続きが煩雑で、貨物室での輸送となる場合が多く、旅行を断念する飼い主も少なくありません。ペットフレンドリーなホテルも世界的な増加傾向に比べて遅れをとっており、多くの飼い主は自家用車で、限られた宿泊施設を利用する現状です。
国際的なペット同伴旅行となると、ハードルはさらに高くなります。日本の動物検疫は条件によって対応が異なり、複雑な手続きに戸惑い旅行を諦めるケースも考えられます。これは、潜在的なインバウンド観光客の喪失にも繋がっています。
ただ、これらの課題は、同時に大きなビジネスチャンスでもあります。鉄道や航空会社はペットフレンドリーなサービスを拡充し、デジタル化による予約手続きの簡素化で利便性を向上させることができます。ホテルはペット向け設備を導入することで付加価値を高め、専用アメニティやペットフードブランドとのコラボレーションによる新たな収益源の創出ができるかもしれません。地域全体では、獣医クリニックやペット同伴可能なカフェ、散歩コースの情報提供など、包括的なサービス整備によって持続可能で快適な環境づくりが可能になります。
前述の株式会社バイオフィリアの調査では、日本のペット連れ旅行者の半数以上が、1回の旅行で1匹あたり1万円以上を費やしており、前回調査から13ポイント以上増加しています。この傾向は国内旅行者だけでなく、海外からの旅行者にも当てはまるでしょう。ペットが「荷物」ではなく「家族」として歓迎されることで、旅行体験はより豊かになり、日本はアジアにおける人道的で持続可能なペットツーリズムのリーダーとしての地位を確立できるはずです。(KY)
(*1)株式会社バイオフィリア(ココグルメ)調べ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000113.000044537.html