ごあいさつ

JTB総合研究所 代表取締役 社長執行役員の風間 欣人からのごあいさつです。

風間 欣人

新型コロナウイルス感染症の発生から3年強が経ちました。マスク着用も個人の判断が基本となり、国内旅行や訪日インバウンドを始めとした社会経済活動も急速に回復してきました。今後はグローバルレベルでの交流と活動の活発化が大いに期待されます。

「変化」は、コロナ危機からの経済活動の回復に留まりません。益々緊迫する国際情勢、円安の亢進、資源価格の上昇、環境問題への意識の高まりから脱炭素化やSDGsに向けた取り組み強化、多様性の尊重など、さまざまな要素が影響し合い、日本も世界も大きく変わろうとしています。しかし、どのような変化を迎えたとしても、ツーリズムの価値は変わることはありません。不確実な時代においてもツーリズム産業は、レジリエンス(困難に直面しても立ち直る能力、あるいは、持ちこたえる打たれ強さ)を持っています。私たちもツーリズム産業のシンクタンクとして、時代の変化に合わせてしなやかに対応していきたいと考えています。

フランスの作家であるマルセル・プルーストは、このような格言を残しました。
『真の発見の旅とは、新しい風景を探すことではなく、新しい目で見ることだ』
これはまさにツーリズム全般に通じる考え方であり、私たちの“今後”を照らすヒントにもなるでしょう。

コロナの影響によりデジタル化やDXが推進され、コミュニケーションのあり方や働き方、消費行動なども大きく変わりました。従来には無かった様々なツールも登場し、人々は今『新しい風景』に馴染みつつあります。時代と共に、新しいモノが次々と生まれ、私たちの暮らしは益々便利になっていくでしょう。しかし、それがお客様や私たちにとって最善のツールなのかどうかは、別の話です。新しいモノを安易に導入するのではなく、お客様にとってそれが最善の方法なのか、そしてそれによって私たちも進化を遂げているのかしっかりと見極める必要があります。場合によっては、「無理に新しいモノを導入する必要はない」と結論づけることもあるでしょう。しかし、それで良いのです。お客様の目標を達成するための方法は、新しいモノの導入だけとは限りません。既存の手段でも、『新しい目』で見れば、問題解決の糸口が見つかることもあります。これこそが、マルセル・プルーストのいう『真の発見の旅』だと考えます。

昨年6月、弊社は創立10周年を迎えました。これもひとえに、お客様や地域・社会のツーリズムに関わる全ての皆さまのおかげです。

「コロナをきっかけにツーリズムは飛躍的に成長した」……私たちが目指すのは、そのように評価いただける未来です。『真の発見の旅』に終わりはありません。1日1日と変化する情勢を注視しながら、ツーリズムを支えるシンクタンクとして、弊社はこれからも皆さまの『新しい目』となるべく、皆さまと共に『真の発見の旅』を続けて行けますよう努力してまいります。

人々の豊かな暮らしと、豊かな地域の実現のために。
今後とも、どうぞ変わらぬご支援のほどよろしくお願いいたします。

2023年4月

JTB総合研究所
 代表取締役 社長執行役員 風間 欣人