今年で輸入60周年

街中で見かけるカプセルトイは今年で輸入60周年
- Source
- タカラトミーアーツ『ガチャブランドサイト』
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最近、街中を歩いているとカプセルトイ、通称「ガチャ」※の筐体をよく見かけるのではないでしょうか。ひと昔前であれば、おもちゃ屋さんやデパートのおもちゃ売り場、ゲームセンターくらいでしか見かけなかったですが、現在では駅や空港、コンビニ、ドラッグストアなどにも設置され、更には専門店まで生まれています。実はこのカプセルトイ文化、日本に輸入されて今年で60周年を迎えています *1。
カプセルトイの歴史を遡ると19世紀末のアメリカに辿り着きます。元はガムボールを販売していたものが次第にカプセルにおもちゃを入れて販売するようになりました *2。それが1965年に日本に輸入され、高度経済成長と共に普及していったという歴史があります。そして上述の通り、近年では街中の様々な場所に設置され、ブームと呼べるほどの広がりを見せています。一般社団法人日本カプセルトイ協会の「2024年度カプセルトイ市場動向調査結果報告」*3によると、2024年度のカプセルトイ市場は1,410億円と推計されており、2022年度の720億円 *4から約2倍の成長を遂げています。
では、この成長の背景にはどのような要因があるのでしょうか。要因の一つとして考えられるのが、大人向けカプセルトイの隆盛です。近年では大人をターゲットとした商品開発なども行われており *2、商品ラインナップ的にも幅広い世代を取り込みやすい状況になっています。また、訪日外国人需要の増加も、市場の成長を語る上で欠かせない要因です。皆さんもカプセルトイを回している外国の方を見かけたことがあるかと思います。彼らにとって、カプセルトイの筐体がずらっと並ぶ光景は圧巻で観光対象にもなっています。加えて商品の精巧さや多様なアニメ・ゲームキャラクターの商品は日本らしいものとしてお土産人気が高いそうです *2。特に2024年は円安の影響などもあり、訪日外国人客数は過去最高を記録し *5、それがカプセルトイ市場の成長に影響を与えていると考えられます。
このように、元々は「子どもの日常空間」を中心に存在していたカプセルトイが、今や老若男女問わず「日本人にとって日常的なもの」に、そして訪日外国人にとっては観光対象という「非日常的なもの」に変化してきています。40年後の2065年はカプセルトイ輸入100周年です。その時にはカプセルトイが日本文化においてどのような位置づけになっているのでしょうか。ハンドルを回すあのワクワク感そのままに、40年後を楽しみにしておきたいと思います。(sでん)

(筆者撮影:ガチャマシン)
<参考文献>
※「ガチャ」は株式会社タカラトミーアーツの商標(https://www.takaratomy-arts.co.jp/info/gacha_rt.html)
1)株式会社タカラトミーアーツ、「ガチャブランドサイト」
https://www.takaratomy-arts.co.jp/mygacha/
2)政府広報オンライン、「大人や訪日外国人にも人気のカプセルトイ」
https://www.gov-online.go.jp/hlj/ja/october_2025/october_2025-05.html
3)一般社団法人日本カプセルトイ協会、「2024年度カプセルトイ市場動向調査結果報告」
https://www.japan-cta.org/news/jacta2025/
4)一般社団法人日本カプセルトイ協会、「2023年度カプセルトイ市場動向調査結果報告」
https://www.japan-cta.org/news/jacta20240215/
5)日本政府観光局、「訪日外客数(2024年12月および年間推計値)」
https://www.jnto.go.jp/news/press/20250115_monthly.html