異国の地で5万人を魅了
マレーシアで盆踊りが人気です。2022年の第46回盆踊り大会では、一晩で5万人が参加しました。
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日本各地で親しまれる、夏の風物詩である盆踊りですが、海外でも人気が高いことをご存じですか?ハワイやブラジルといった日系移民を起源とする地域だけでなく、マレーシアのように、在留邦人の子供たち向けのイベントをきっかけに盆踊りが人気となった地域もあります。
マレーシアにおける盆踊りは、1977年に在留邦人駐在員の子供たちに日本文化を体験してもらうために、PTAが主催した小さなイベントとして始まりました(注)。現在では、マレーシア人にとっても人気のイベントでもあり、ペナンやジョホールバルにおいても大規模な盆踊りが開催されるなど、全国各地へ拡大しつつあります。
50年近い歴史を持つクアラルンプールにおける盆踊り大会は世界最大規模の盆踊り大会の一つに数えられており、2022年には過去最高の5万人の来場者を記録しました。中央のやぐらでは日本人学校の生徒が太鼓演奏や踊り手として盆踊りをリードし、来場者は見よう見まねで「東京音頭」や「花笠音頭」などを楽しみました。屋台なども出店し、たこ焼きやラムネなどの定番の屋台グルメやお弁当などの日本食だけでなく、浴衣などの文化体験も人気を博しました。さらに、コスプレを楽しむ参加者がいたり、ゲストによる和太鼓やマレーシアンダンスのパフォーマンスが行われたりと、近年では、盆踊りに留まらない「文化交流の場」へと拡大しているようです。2024年にはセキュリティ対策や安定した運営のための寄付を目的とした事前登録制を導入するなど、さらなる進化を遂げて、今年も開催されています。
2022年の盆踊り大会が盛況となった背景には、コロナ禍の影響で3年振りに開催されたこと、マレーシア政府が宗教的な観点からムスリムは盆踊りに参加しないよう声明を出したことで、むしろ注目が高まったことなど特殊な事情もありました。しかしながら50年近くも盆踊りが続き、拡大してきたのは、多民族国家であるマレーシアならではといえます。
訪日外国人旅行者が増加を続ける日本においても、多文化への理解が求められています。マレーシアなどの文化的交流の事例を知ったり、現地を訪れた時には参加してみたりすることは、多文化共生への理解が深まるきっかけになり、日本への訪日外国人旅行者と、受け入れる住民の双方が心地よいと感じられる関係を築くヒントになるかもしれません。(NK)


注)クアラルンプール(KL)日本人会 ホームページ
「イベント 盆踊り」 https://www.jckl.org.my/events/bon_odori
〈参考〉
1)クアラルンプール(KL)日本人会「イベント 盆踊り」
https://www.jckl.org.my/events/bon_odori
2)クアラルンプール(KL)日本人会「2022年8月のニュースレター 第46回盆踊り大会」
https://www.jckl.org.my/newsletter/2022-08