世界で約2,500

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世界中で、約2,500の言語が消滅の危機にあります。

世界中で、約2,500の言語が消滅の危機にあります。
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ユネスコ「Atlas of the World’s Languages in Danger」

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ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、2010年に「世界の消滅危機言語地図(Atlas of the World’s Languages in Danger)」を発表しました。ここには、世界で約2,500言語が消滅の危機に瀕していると記載されています。日本国内でも、アイヌ語,八丈語,奄美語,国頭語,沖縄語,宮古語,八重山語,与那国語の8言語が消滅の危機にあるとされています(*1)。

では、言語・方言はどのように消滅の危機に瀕しているのでしょうか。沖永良部島国頭集落で行われた調査では、「30代後半から方言理解度が落ち始め、そこから下の世代では急激に方言理解度が低下している」ということが分かりました。加えて、家庭内で方言の使用が消え始めた世代と、方言の理解度が低下する世代が概ね重なるという結果も示されています(*2,3)。
この現象は、他の地域でも同じであると考えられます。親世代では、年配者の方言を理解することはできても話すことはできない人が多く、若い世代では主要な方言以外はほとんど馴染みがなくなってきています。

方言が消滅の危機にある一方で、その地域だけの言葉だからこそ伝えられる表現の魅力に着目したPR活動も注目されています。例えば、宮崎県小林市の移住定住促進向けPR動画「ンダモシタン小林」や、青森県の方言バトル動画による観光PRなど、方言を活用したプロモーションが実施され、方言になじみの薄い若い世代においてもSNSなどで話題となりました。

今後、日本の言語・方言を守るためには、方言に触れる機会を増やすことが重要です。地域に根付いて長年使われてきた言葉は、コミュニケーションツールとしての「言葉」だけではなく、地域のアイデンティティとして、日本や各地域の文化を継承していくことにつながります。そして、そうした固有の文化のある地域こそ、世界から選ばれる魅力ある地域になっていくのではないでしょうか。(S)
 
<参考文献>

  • (*1)ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)「世界の消滅危機言語地図(Atlas of the World’s Languages in Danger)」(2010)
       https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000187026
  • (*2)横山晶子・籠宮隆明「言語実験に基づく言語衰退の実態の解明-琉球沖永良部島を事例に-」方言の研究5(2019)
  • (*3)横山晶子・冨岡裕「琉球沖永良部語の衰退要因に関する一考察」第158回日本言語学会.予稿集(2019)