月1回未満が45%

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皆さんは、自分にとって特別な本はありますか。それは好きな作家の作品であったり、恩師からの推薦であったり、本屋で偶然手に取った一冊かもしれません。観光業界では、「深夜特急」シリーズに影響を受けて旅をした人も多いのではないでしょうか。
 そんな読書について、大人にとってはショックかもしれない結果があります。日本財団の「18歳意識調査(第62回)」によれば、17~19歳の日本人のうち45%が月に1回未満しか本を読まないとのことです。この調査は中国、インド、韓国、イギリス、アメリカでも行われ、他国と比べて日本の若者は本と触れ合う頻度が低いことが分かりました(同様に、新聞(ネット記事含む)を読む頻度も、日本の若者は他国に比べて低くなっています)。

出典:日本財団18歳意識調査「第62回‒国や社会に対する意識(6カ国調査)‒

出典:日本財団18歳意識調査「第62回‒国や社会に対する意識(6カ国調査)‒」

昔と比べて身近な娯楽が増えたことで、娯楽としての読書は立場が危うくなっているかもしれません。わざわざ自分で本を読まなくても、ほとんどの本はWeb上で結末も含めたあらすじを知ることができます。特にタイパ(タイムパフォーマンス)を重視する日本の若者が、読書に時間を割かないのは当たり前かもしれません。しかし、簡単に入手できる情報は、その価値も高くないものになりがちです。
 読書と同じく、旅行も同様の状況に置かれています。インターネットからあらゆる情報が手に入り、VRなども発達している今、わざわざお金と時間をかけて、その場所に足を運ぶ意味とはなんなのでしょうか。弊社で行った旅行業界の専門家とのディスカッションでは、『その場の空気を五感で感じられること、その空気を感じ取れるだけの「余白」が自分自身にあること、その場にいることで初めて感じ取れる「偶発的な出会いがあること」』などが挙げられました。
 一冊の本との出会いや一度の旅行が、人生を変えることもあります。そのことを理解している大人世代が、価値ある本や経験との出会いを、人生を豊かにする選択肢として若者に伝えることは、若者を支える一つの方法かもしれません。(お)
 
<参考>
日本財団 https://www.nippon-foundation.or.jp/
日本財団 18歳意識調査 「第62回 –国や社会に対する意識(6カ国調査)–」
https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2024/03/new_pr_20240403_03.pdf