プレスリリース
年頭所感 ~ツーリズムの本格回復とその先の未来に向けて~
2023年01月04日
JTB総合研究所
2023年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨秋から日本の新型コロナウィルスの水際対策が大きく緩和され、街を歩く外国人の姿が増えました。訪日インバウンドは目に見えて復活しています。国内旅行については「全国旅行支援」が功を奏し、観光庁の宿泊統計によると、昨年10月、11月の日本人の延べ宿泊者数はいずれも2019年の同月を上回りました。新型コロナは依然終息が見えませんが、日本のツーリズムは本格的な回復に向けて大きく動き出しました。
足元の動向をみると、訪日インバウンドは、需要はしばらくの間は急回復すると考えております。一方、海外旅行はロシアのウクライナ侵攻や円安などのマイナス要因が継続し、引き続き不透明な状況にあると思われます。
今年のツーリズムにおける懸念の1つはやはり物価高です。長期デフレによる価格競争は値上げができない体質を産業界に作ってきたといえますが、今こそ業界をあげて生産性を上げるべきではないかと考えます。単にコスト高を吸収するために価格を上げるのではなく、お客様に価値を実感してもらえるよう付加価値をより深く追求する必要があります。新型コロナ終息前の今が最大の機会ではないでしょうか。
中長期でみると、今後は私どもツーリズムに携わる者も、新型コロナに直接かかわる課題への対応から、間接的に影響を受け、顕在化した変化や諸課題への対応によりシフトすると考えられます。持続可能な開発目標(SDGs)については、移動や観光に大きくかかわるカーボンニュートラルを始めとする地球環境問題への取り組み強化はもちろんですが、コロナ禍で傷ついたツーリズム産業の復活と成長の道筋をつけ、様々な人材がキャリア形成できる魅力ある産業に変貌を遂げることが次世代のツーリズムへの責任と感じます。
またコロナ禍で広がった大きな変化の1つにリモートワークによる働き方があげられますが、旅行先や帰省先で仕事をするという旅のスタイルや二拠点・多拠点生活をもたらしました。これにより価値観や生き方・暮らし方が変わり、「暮らす」と「滞在する」の垣根は低くなり、人と地域とのかかわり方も多様化していくものと考えられます。従来の観光は、旅行者のニーズを反映した商品を迅速に提供し続けることに重点が置かれていましたが、今後は、中長期で未来を見据え、人や社会に寄り添う多面的なまちづくりへのかかわりも重要になると思われます。
かかる状況の中、当社は、本年も経営理念である「旅行やツーリズムの価値を超えた交流の促進を考える新しい時代のシンクタンクとして、豊かな暮らしと豊かな地域の実現に寄与すること」を念頭に置き、全社一丸となって各事業に取り組み、2023年も挑戦を続けて参ります。各事業活動を一層強化することに加え、今まで以上に国内外のお客様・事業パートナーの皆様との連携を強化し、情報交換や協力・共創を通じて、当社の営みが、持続的かつ時代に沿うツーリズムの課題解決ひいては未来のツーリズムの創造に少しでも貢献できればと考えております。
結びに、本年が皆さまにとって、大きな飛躍の年となることを祈念いたします。
代表取締役 社長執行役員
風間 欣人
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