高級商材の売り上げ プラス6.8%

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2013年1月の百貨店売上、「美術・宝飾品・貴金属」6.8%増
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日本百貨店協会「平成25年1月百貨店売上高」

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安倍政権による経済政策「アベノミクス」への期待感や、ユーロ経済が一旦落ち着いたことなどによる円安、株価上昇傾向が続いています。このような円や株価の変化は生活者の消費や旅行にも影響が出ているようです。

2013年1月の百貨店売り上げは、2か月ぶりに上昇。特に美術・宝飾品・貴金属は6.8%増、輸入特選雑貨など身の回り品は3.6%増と、高級商材の伸びが目立ちました。

百貨店の高額商品はもとより、旅行においてもクルーズなどの高額商品は株価と相関があると言われています。国内クルーズ大手である日本郵船の客船事業売上と株価の推移を見てみると、株価の動きに反応する形で、半年遅れて売り上げが伸びる傾向がみられました。

次に年代別に金融資産の保有状況を見てみると、株の保有額は60代が最も多く、平均で95万円。株の保有率では、1位が70歳以上の6.4%、2位が60代の5.9%となっています。(具体的な数字はこちら)

ここのところの円安によって、円高の時期には国内旅行よりも割安感があった近場へのパッケージツアーなど、価格志向の強い旅行者へ向けた安い価格帯の旅行商品が影響を受け、売上げが減少する可能性はあります。反面、団塊世代の完全退職で時間に余裕のある層が増えることに加え、金融資産である株価が上昇し、経済的な面でも余裕が増せば、高額商品の売り上げの伸びが期待できそうです。

比較的遠出となる方面や上質な商品はもちろんのこと、少し価格は高くても「その時期、その場所ならでは」の体験や、物語性(ストーリー)を持ったユニークな経験を提供するラインアップの拡充など、こだわりのある旅行を求める人たちへの対策強化が、これまで以上に求められるのではないでしょうか。