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栽培を専門家に相談できる「おうち野菜」、1ポット300円前後(税抜)で発売
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国内大手種苗メーカー サカタのタネ

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国内大手種苗メーカーのサカタのタネ(創業101周年)は、栽培に関してコンシェルジュと呼ばれる専門家に相談できるサービスを付けた野菜苗の新ブランド「おうち野菜」を発表した。「おうちで育てて、おうちで食べる」をコンセプトとしており、2015年4月より1ポット300円前後(税抜き)で発売する。コンシェルジュは自社OBが務める。

野菜の栽培は、生育段階に応じた世話が基本であり、その上で天候や病害虫などへの対応、肥料や農薬の使用が重要となる。園芸未経験者や初心者は十分な情報がないために、誤った対処をしてしまう場合があり、これが失敗の主な原因となっている。「おうち野菜」では、コンシェルジュ・サービスを通して情報不足による失敗を減らし、利用者が美味しい野菜を作る手助けをする。サカタのタネは、このような取り組みを通じて、継続的に園芸に親しむ愛好者を増やし、園芸人口の裾野を広げることで、老舗メーカーとして業界へも寄与していきたい考えだ。

土に触れる機会が無かった層にとって、家庭での野菜の栽培は自然に親しむきっかけとなる。同社によれば趣味園芸向けの野菜苗の販売量は毎年1割程度ずつ伸びており、顧客層は、セカンドライフの充実を目的に園芸を楽しむ60歳以降の層が中心とのことだ。レジャー白書によれば、2013年の「農園(市民農園など)」の参加人口は約440万人。登山の770万人には及ばないが、オートキャンプの280万人と比較すると、小さい数ではない。

また、子どもの教育のために植物や自然に触れる機会をつくりたいと考える親も多いようだ。JTBコーポレートセールスが運営する「旅いく」では、「ホンモノを体験すること」で子どもの生きる力を育むプログラムを実施している。農業体験を軸とした「自然に学ぶ」プログラムは、「モノをつくる」「文化に親しむ」「街で働く」プログラムと共に、「旅いく」の4本柱の一つとなっている。農業体験をする中で、自然だけでなく異なった年齢の子供たちや親、地域の人たちなど様々な価値観を学び、また自分たちが育てたものを実際に食べる経験から、命の尊さなどを実体験として得ることなどができるからだ。

このように、日々農業や園芸に親しむ人が増えれば、都市部ではできないスケールの体験をしてみたいと考える人々も増えるだろう。実際、都市型農業も人気だが、「旅いく」の自然に学ぶプログラムの中では、地方での稲作体験に人気が集まっている。小さなスペースでの家庭菜園により、広大な田畑への関心が生まれる。新たな場所に人を誘うときには、まずは小さくでも一歩を踏み出してもらうことが重要だ。