発行枚数3000万枚

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電子マネーの発行枚数が3億1727万枚に達成、そのうち携帯電話での利用は3000万枚に

電子マネーの発行枚数が3億1727万枚に達成、そのうち携帯電話での利用は3000万枚に
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日本銀行「決済動向」(2016年10月31日発表)

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日本銀行は、10月31日にプリペイド式の電子マネーの発行枚数が3億1727万枚となり、そのうち携帯電話での利用は3000万枚に達したと発表しました。携帯電話を利用した決済は「おサイフケータイ」という名称でスマートフォンの前のフィーチャーフォンの時代からなじみがあり、利用が広がっています。日銀の発表に先立ち、同月25日にiPhoneを利用したモバイル決済サービス「Apple Pay」が日本でスタートしました。これはプリペイド式ではありませんが、日本のスマートフォンで圧倒的なシェアを持つiPhoneが導入したことにより、携帯電話での電子マネー利用による決済はさらに増加することが期待されています。

電子マネーは、少額利用が中心であること、手軽さという特性から、IC乗車券の利用と合わせて駅構内や、ポイントカードの面からコンビニや薬局、スーパーなどでの日用品購入まで広く利用されてきました。高額な商品の購入やインターネットでの利用が多いクレジットカードと比べ、少額かつ外での利用が多いのが特徴で「移動シーン」の他、最近では観光地やイベントといった「体験シーン」のなかでの利用がすすんでいます。携帯電話はもはや電話機能にとどまらず、カメラ、インターネット、地図、音楽、テレビの視聴など様々な機能が追加され、私たちの生活になくてはならないものになっています。携帯電話での電子マネーは、観光施設の窓口では荷物が多い中で財布を開く手間もなく、混雑解消にも貢献しています。コンサートやイベント会場では、電子チケットとして利用されています。スマートフォンにチケットや認証情報を事前登録しておくことで、チケットの配送を待つことも、当日チケットを忘れて困る心配もありません。今は現金や紙の入場券の代わりとしての利用がほとんどですが、アプリと組み合わせることで、近隣施設の割引券を自動で受け取ることができたり、観光の周遊記録を作ったり、「体験シーン」の中での利用の可能性が広がります。

携帯電話での決済の仕組みは世界中で広がっています。もともとこの決済方法は生活インフラの整備が遅れている途上国で銀行やクレジットカードに代わる決済手段として広まったと言われています。現在はアメリカでも、何枚ものクレジットカードを財布の中に持ち歩く必要がない便利なサービスとして利用が広がっています。今後日本でも、携帯電話での決済利用者が増え、利用の場が増えることにより、モノ消費だけでなくコト消費に対しても、顧客との接点の把握が可能になってきます。それらから得られたデータをどのように活用していくか、利用者数の推移とともに今後の動きに注目です。

モバイル端末における電子マネー発行枚数の累計(単位:千万)
モバイル端末における電子マネー発行枚数の累計
出所:2016年10月31日発表 日本銀行「決済動向」
注釈:プリペイド方式のうちIC型の電子マネーが対象。本調査は、調査対象先8社(楽天Edy、SUGOCA、ICOCA、PASMO、Suica、Kitaca、WAON、nanaco)から提供されたデータを集計したもの。交通系については、乗車や乗車券購入に利用されたものは含めていない。2008年~2015年は年末時点の数値、2016年は8月末時点。