2050年に75%をクリーンエネルギー化

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ドバイは太陽光などのクリーンエネルギーが全エネルギーに占める割合を2020年には7%、2050年には75%とする戦略を策定しました。

ドバイは太陽光などのクリーンエネルギーが全エネルギーに占める割合を2020年には7%、2050年には75%とする戦略を策定しました。
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The World's Most Improbable Green City

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ドバイは太陽光などのクリーンエネルギーが全エネルギーに占める割合を2020年には7%、2050年には75%にするという「ドバイ・クリーンエネルギー戦略」を2015年に策定しました。

 数十年前には砂漠の中の小さな漁村だったドバイが、この数十年の間に目覚ましい発展を遂げ、世界有数の摩天楼、巨大なインドアスキー場やショッピングモールを擁する世界の金融センターとなったことは記憶に新しいことです。一方で、これらすべての施設のための空調や倍増する車、年間1500万人を超える観光客が利用するための水道水の確保などのためには大量なエネルギーが必要であることは想像に難くありません。実際World Wildlife Fund (WWF) によれば、2006年におけるアラブ首長国連邦のエコロジカル・フットプリント(環境への負荷を示す指数)は世界最大でした。その一角をなすドバイも同様だったと考えられます。では一体ドバイはどのようにして、一見無謀とも思えるこのプロジェクトを進めていくのでしょうか。

 ご存じのとおり、石油などの化石燃料は無限ではありません。2006年にアブダビのマスダールシティで始まった「ゼロ・カーボン都市構想」は世界の再生可能都市の概念を変えました。ドバイでもそれに続けと、再生可能エネルギーや先端技術を意欲的に取り入れた環境・エネルギー戦略が早いスピードで進められているのです。
 
 ドバイ電気・水道局(DEWA)は2017年9月、世界最大となる出力700MWの集光型太陽熱発電所の第4フェーズの発注を発表しました。ドバイが現在進めている「ドバイ・クリーン・エネルギー戦略」では、2030年までにすべての建設物の屋根に太陽光発電システムを設置するとともに、無人運転の電車の導入や北向きの家屋などを増やし、駐車場などの屋根もソーラーパネルで覆うなど様々な方法でエネルギーの消費を減らすことが検討されています。その結果、太陽光による発電システムはドバイにおいて、石油よりずっと安価でクリーンなエネルギー源となりつつあります。
 
ドバイがこのように短期間で、建設、金融、観光、航空など様々な分野で発展を遂げた理由の一つには“リーダーシップ”があります。よい意味での「トップダウン」は戦略判断のスピードを早め、いち早く世界の関心や国民の満足を得ることができます。私たちの子供たちの世代が持続可能な社会を享受できるか否かは、科学、知識、技術とそれらによるイノベーションを技術のスピードに負けず、いかに素早く取り入れていかれるかどうかにかかっています。
日本は既存の技術を取り込み、より良いものとしていくことには大変優れていますし、AIやロボティックスなどの分野でも世界をリードしています。しかしながら、観光分野が今後も大きく発展するためにはリーダーシップをもっと発揮し、判断のスピードを早めていく必要があると考えられます。すでに日本でも持続可能な社会に向けた様々な取り組みが進んでいますが、果たして世界的と比べ突出したものと言えるでしょうか?ドバイの目を見張るような取り組みから学べることは多そうです。