約700万人の乳幼児に影響!?

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新型コロナウイルスの影響によりマスクの着用が日常となっている現在、大人のマスク着用が0~6歳までの子どもたち(総務省データによると約700万人)の言語取得に大きく影響を及ぼす恐れがあると言われています。

新型コロナウイルスの影響によりマスクの着用が日常となっている現在、大人のマスク着用が0~6歳までの子どもたち(総務省データによると約700万人)の言語取得に大きく影響を及ぼす恐れがあると言われています。
Source
(株)ベネッセコーポレーション 「たまひよ」WEBメディア
2021年1月12日記事「脳発達の専門家に聞く、大人のマスク着用が6才までの子どもに与える影響」

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新型コロナウイルス(以下、コロナ)の影響によりマスクの着用が日常となっている現在、大人のマスク着用が0~6歳までの子どもたちの言語取得に大きく影響を及ぼす恐れがあると言われています。ベネッセたまひよホームページの記事「脳発達の専門家に聞く、大人のマスク着用が6歳までの子どもに与える影響」によると、子どもは「口から発する音声と口の動きの視覚情報を統合しながら、言語を獲得する」との記載があります。幼児は耳からの情報だけでなく、大人の口元を真似しながら言葉を学んでいることがわかります。今、日本には0~6歳が674万人(2019年10月1日現在)暮らしているので、約700万人弱の子どもに通じる話といえます。

そのような中、親としてできることは何でしょうか。コロナ禍において在宅ワークなどにより子どもと過ごす時間が増えており、家庭内ではコロナ発生前よりも子どもたちの言語取得に好影響を与える環境は整っているようです。
 しかしながら、親の口元や物を追う視線などが幼児の言語取得には大切だということを、親自身が認識できていない可能性も大いにあります。まずは、幼児の言語取得のメカニズムを知ることが重要で、マスク着用時は非言語コミュニケーション(大袈裟な感情表現、言葉をはっきり・ゆっくりなど)で補完していくことが有効だと考えられます。例えば、保育園では密を避けながらも、普段より大袈裟にジェスチャーを交えながら幼児とのコミュニケーションを取る工夫がなされています。

一方で、コロナ禍で急加速したオンライン環境は、子どもの言語取得の救世主となり得るのでしょうか。東京大学国際高等研究所の辻晶助教授によると、子どもの言語取得に影響を与える要素として、①人間っぽさがある、②視線、③反応性、が重要とされています。①は代替できませんが、②はZoomなどのオンライン通話、③は知育アプリなど、画面上でのリアルなコミュニケーションツールを上手に活用すれば、幼児の言語取得の一助となると考えられます。現在、オンライン上ではさまざまな幼児向けのサービスが展開されています。例えば、音と一緒に動くイラストを見ることで0歳児でも楽しめるアプリや、4歳から遊び感覚で思考力を育てることができるアプリなどがあります。このように、ポジティブな捉え方をすれば、幼児からオンラインに慣れていくことも、今後の社会には必要かもしれません。

コロナにより社会環境が一変する中で、環境に敏感な幼児への影響を最小限に抑えるためにも、子どもの言語取得メカニズムに即したコミュニケーションを実践することが子どもたちの未来に向けた第一歩につながるのではないでしょうか。(T.K)

<参考>
出典:
・(株)ベネッセコーポレーション 「たまひよ」WEBメディア
2021年1月12日記事「脳発達の専門家に聞く、大人のマスク着用が6才までの子どもに与える影響」
https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=95108
・総務省統計局 人口推計 「第1表 年齢(各歳),男女別人口及び人口性比―総人口,日本人人口(2019年10月1日現在)」
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2019np/index.html