10年間で5分

印刷する

2016年の一人あたりの1日の平均の家事時間は1時間27分で、10年間で5分しか短縮されていません

2016年の一人あたりの1日の平均の家事時間は1時間27分で、10年間で5分しか短縮されていません
Source
総務省 社会生活基本調査(行動の種類別総平均時間の推移)

数字を
読み解く

12月に入り大掃除が気になる人も多いと思います。お掃除ロボットや家事代行サービスなど家事を助ける家電やサービスは私たちの生活に年々浸透し、テレビや雑誌でも効率よく家事をする「時短テクニック」などが紹介されていますが、総務省の調査によると、2016年の一人あたりの1日の平均の家事時間は1時間27分で、10年間で5分しか短縮されていません(*1)。この調査における家事の時間は、回答者が生活時間の中で「家事に費やしたと考えている時間」を記入したもので、働く女性の増加などにより、男女別では男性は家事時間が増加、女性は減少しています(表1)。一方、大和ハウスの調査(*2)では、「靴磨き」や「マンションの会合に出席する」など夫が「家事」と思っていない「名もなき家事」の存在があり、これが男女間の家事参加意識のギャップとなっていることも分かりました。「家事」の定義は人それぞれ範囲や感じ方が異なります。家事の負担や時間を減らすためには、具体的にどんな作業があり、何が負担で、何に時間がかかっているかを意識的に整理することが必要です。

日々の仕事についても同じことが言えます。仕事の効率化を図るには、「自分が何をすべきか」を意識し、「作業の明確化」や「重複している作業を特定」して整理を行うことが大切です。仕事の効率化を図るための1つの方法として、「手作業を自動化する」といった業務支援系のシステムを導入することがあります。その際に作業を明確化し、システムで何をすべきかを意識していないと、期待する効果が得られないということがおきます。例えば、「書類の入力作業」の負担軽減のために、自動で文字を読み取るシステムを導入したが「書類を取り込む手作業」という負担は残ってしまい、思ったような効率化にならなったというようなことです。そもそも、その書類自体が必要かどうか議論をしていなかったということに導入後になって気付いたりします。最近では、AI(人工知能)を活用したサービスが次々と商品化され、AIが人間の作業を代替えし、作業の効率化を図ることが現実となりました。これからは、何をAIに任せるのか、人間が本来すべきことは何なのか、一つ一つの仕事の意味や優先順位を判断していくためにも、日々の作業をブレークダウンし、見える化をしていくことがさらに重要になってくるでしょう。

AIと人間が共存する新しい年明けに向け、大掃除だけでなく、仕事の棚卸もいつもより念入りにしてみませんか?

「家事」の総平均時間の変化

データ出所:
(*1)総務省 社会生活基本調査(行動の種類別総平均時間の推移)
(*2)大和ハウス工業株式会社「20代から40代の共働き夫婦の“家事”に関する意識調査」