30人から5人へ

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ロボットが接客することで話題となった長崎県ハウステンボスの「変なホテル」は、業務の効率化により、開業当初30人いたスタッフは2年後に5人に

ロボットが接客することで話題となった長崎県ハウステンボスの「変なホテル」は、業務の効率化により、開業当初30人いたスタッフは2年後に5人に
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2017年12月18日発表「日銀短観」業種別計数

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景気が拡大する中、企業の人手不足が深刻化していますが、業界による差は顕著です。日銀が昨年12月に発表した短観(企業短期経済観測調査)の業種別集計によれば、雇用人員について「過剰」と回答した企業の割合から「不足」と回答した割合を引いた指数(DI)で、マイナスの幅が一番大きかったのは宿泊・飲食サービス業で-62でした。

長崎県のハウステンボスにある「変なホテル」は、チェックイン業務を恐竜型や人型のロボットが対応するなどエンターテイメント性で話題になりましたが、経営側の狙いの一つはロボットやシステムの活用による生産性の向上や業務の効率化でした。その手法は独特で、ホテルのオープン時にはシステム化は完全ではなく、毎日ロボットとともに働くスタッフが「ここまでロボットがしてくれたらいいのに」「こんなこともシステムでできるのでは」と感じた業務を社内で検討し、先進技術を活用してロボットを改良したりし、システム化したりしていきました。例えば、作業のどこかで人手がかかっていた芝刈りや窓ふきなどの作業もロボットに最後まで任せられるようになり、完全自動化されたといいます。一方、様々な改良の途中には、従来のホテルのサービスに慣れた宿泊客からは不満の声もありましたが、中には「ロボットに期待したのにこんなこともできなかった」ということを面白がって友人に語ったり、SNSで発信したりする人もいて、かえって話題を呼び、客室の稼働率は下がらなかったといいます。「変なホテル」は、開業の1年後の2016年には2期棟として72室を増築し、2017年にはロボットの数は開業当初の82体から219体に、人間のスタッフは30人から5人になり、現在客室数は114室となっています。

興味深いのはハウステンボスのロボットの役割を考えたのは人間だったということです。担当者はこの仕事ならロボットに任せてもお客様の満足は得られると考えながらシステム化できることやロボットができる業務を拡大していったのでしょう。これをやったらお客様はこう思う(嬉しい、嫌だ)と気遣い予測してアクションできるのは今はまだ人間だけではないでしょうか?技術の進歩のスピードは速く、ロボットができる業務をロボット自らが決める時代もすぐそこまで来ています。