最高速度20km/h以下であれば

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2022年3月、道路交通法の改正案が閣議決定され、電動キックボードは最高速度20km/h以下であれば「特定小型原動機付自転車」という新しい車両区分に含まることが決定しました。

2022年3月、道路交通法の改正案が閣議決定され、電動キックボードは最高速度20km/h以下であれば「特定小型原動機付自転車」という新しい車両区分に含まることが決定しました。
Source
乗り物ニュース「電動キックボード「ほぼ自転車扱い」に 免許・メット不要 一部歩道OK 新区分の乗り物へ」(2022.03.04)

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近年都心部を中心に、電動アシスト自転車や電動キックボードのシェアサービスを見る機会が増えました。コロナ禍で密を避ける移動手段として、また動力源が電気であるため温室効果ガスの排出抑制の観点でも注目され、世界各国でベンチャー企業が参入しています。
 電動アシスト自転車は、日本の道路交通法の基準(アシスト比率など)に適合していれば「自転車」に区分され、その多くが誰でも利用可能です。一方電動キックボードは、これまで「原動機付自転車」に区分され、利用には運転免許が必要でした。2022年3月、道路交通法の改正案が閣議決定され、電動キックボードは最高速度20km/h以下であれば「特定小型原動機付自転車」という新しい車両区分に含まることが決定しました。今国会で成立すれば、2年以内に新たなルールが適用され、16歳以上であれば運転免許無しで、誰でも利用できることになります。

電動アシスト自転車や電動キックボードに代表される超小型モビリティのシェアサービスは、スマートフォンなどから予約し、サイクルポートで番号を入力、またはQR等をかざすだけで、数十分単位から利用できる手軽さが魅力です。サイクルポートの設置数が多い都市部あれば、歩くには少し遠いスポット間の移動を効率よくできます。自家用車やレンタカーで移動する場合と異なり、道路状況による遅延や混雑もなく、駐車場を探す必要もありません。地方においては、運転スキルの不安や費用の面から、自動車の所有やレンタカーを借りるのにハードルがある場合に有効です。また路線や本数の少ない公共交通の隙間を埋め、目的地まで自由に移動ができます。

しかしながら課題もいくつかあります。シェアサービスは増えてはいるものの、サービスが展開されている地域は一部に限られることや、充電や設備のメンテナンス、アクシデント(故障等)時の対応、そして最近では交通マナーや事故に対する懸念も利用者の増加にともない増えています。特に電動キックボードに関しては、新ルール適用後も、原動機付自転車に準じた交通規則、違反規定が適用となります。ヘルメット着用は努力義務であるものの、利用者に周知させ、利用者はルールを十分に理解した上で、より一層安全に留意することが求められます。

電動アシスト自転車や電動キックボードの利用は、観光においても活用の可能性が広がります。都市部の場合、地下鉄など違い街の景色を楽しみながら、自分のペースで気ままに移動ができます。自然を楽しむ場合、山道などのアップダウンがある地形でも、電動アシスト自転車があれば労少なく移動することが可能です。また電動キックボードは、平地で距離のあるビーチや平原などの移動自体を、レジャー気分で楽しむことができます。しかしながら、悪天候時や荷物が多い場合には利用しづらく、タイミングによっては希望のサイクルポートでの利用ができないこともあります。導入する観光地も増えつつあり、ルールや体制が整っていく中、その土地の特性、目的や状況に合わせて、他の移動手段と組み合わせながら、より充実した観光を楽しむ人が増えることを期待しています。(Y)

<参考>
乗り物ニュース「電動キックボード「ほぼ自転車扱い」に 免許・メット不要 一部歩道OK 新区分の乗り物へ」(2022.03.04)
https://trafficnews.jp/post/116230
警察庁「道路交通法の一部を改正する法律案(概要)」(第208回国会(常会)提出法案2022.3.4)https://www.npa.go.jp/laws/kokkai/05_sankoushiryou.pdf