終わってみれば、518万2千人

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2015年の春節、海外旅行に出かけた中国人は518万2千人

2015年の春節、海外旅行に出かけた中国人は518万2千人
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中华人民共和国国家旅游局

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毎年日本でも話題になる中国の「春節」休暇(今年は2月18日~24日)が終わりました。今年もたくさんの中国の人々が海外旅行を楽しみ、日本でも百貨店やドラッグストアで「爆買い」をする中国人旅行者の様子が連日テレビで報道されました。中国側の発表によれば、この休暇期間中に海外旅行にでかけた中国人は518万2千人。中国で海外旅行が解禁になってから18年。そして今年は春節の期間に限ってですが、ついに海外旅行者数が国内旅行者数をこえました。

日本の大手百貨店5社が発表した2月の売上高(速報値)では、全社そろって増収、都市部の主要店では訪日外国人向けの免税品の売上高が2~5倍になりました。訪日外国人は中国人だけではありませんが、「春節」期間中の中国人訪日客の来店が奏功していることは言うまでもありません。

もともと中国の旧正月の休暇は故郷に帰って親族と正月を祝うためのものですが、1997年に中国本土で一般の人に海外旅行が解禁になって以来、まとまった休みがとれるこの期間に長期の海外旅行に出かける人も増えています。若い人々にとっては、正月は親戚や友人と会うなど「おつきあい」のための時間だったのが、最近は「自分のため」に時間を使いたいという意識が増えてきているとも言われています。また、SNSの発達など情報の伝達手段の進化も人々の生活の変化に大きく貢献しています。旅行の土産話や写真は、いまや旅行中から友人知人に自慢できるものとなりました。それは、同じ体験を「次は私も」という気分に人々を駆り立てます。

経済成長、高齢化、デジタル化など、変化のスピードは、今そしてこれからも、日本がかつて経験したスピードを上回っていくでしょう。旅のスタイルも日本が経験してきた団体旅行から個人旅行への変化や、観光とショッピングから体験や思い出を重視する傾向への変化も早いに違いありません。中国人観光客といえば「爆買い」ばかりに注目が集まりますが、「モノからコト」への体験型消費が主流になる日も近いのではないでしょうか。