予算なし最寄駅から徒歩15分

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2015年日経MJヒット商品番付東関脇に輝いた成田空港LCCターミナルは、最寄駅「第2ターミナル駅」から徒歩15分

2015年日経MJヒット商品番付東関脇に輝いた成田空港LCCターミナルは、最寄駅「第2ターミナル駅」から徒歩15分
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日経MJヒット商品番付2015年

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2015年4月8日にLCC(格安航空会社)専用ターミナルとして成田国際空港第3ターミナルがオープンしました。その斬新なデザインに注目が集まり、2015年日経MJヒット商品番付で「東の関脇」となり、利用者は年間550万人に達する見込みとのことです。

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鉄道駅のある第2ターミナルから、第3ターミナルの出発ゲートまで続く、陸上トラックを模した誘導デザイン。

この第3ターミナルには直結する駅がなく、最寄駅である第2ターミナル駅から第3ターミナルまで歩くか連絡バスに乗ることになりますが、歩くと徒歩15分かかります。建設予算が少なく、移動の空間に、動く歩道、エレベーター、照明付の看板、デジタルなサインなどがつけられず、空間設計を依頼されたデザイナーは、当初は頭をかかえたそうです。思案する中で思いついたのが「陸上トラック」です。歩くしかないなら、楽しく、脚に負担のないデザインにしようと考えたのです。出発を空の色である青、到着を土の色である茶色にし、歩くことを楽しんで、目的地に向かって前向きな気持ちで進めるようにデザインされています。

LCCは、LCC元年と呼ばれた2012年以降、新しい交通手段として徐々に社会に浸透してきました。JTB総合研究所が2013年から実施しているLCCの利用実態についてのアンケート調査(2015年7月実施)によれば、国内線LCCを利用した旅行の目的は「観光」が74.1%(前年から0.7ポイント増加)と最も高く、親族や友人・知人訪問、介護、帰省も前年から増加しています。その一方で、業務出張は2013年から年々減少傾向にあり、国内線LCCは、ビジネス利用というよりも、個人の私的な移動の手段として定着してきています。また、「好きなLCC航空会社がある」は29.7%で昨年から5.3ポイント増加し、3割の人がお気に入りのLCC航空会社をみつけていることがわかりました。

不便であることをデザインの力でカッコよく設計することで利用者に楽しんでもらおうと考えたこと、LCCの利用者が増え、LCCに乗ることを「体験」として楽しむ人が増えたことで斬新なデザインの成田空港第3ターミナルが注目を集めたと言えるのではないでしょうか。

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