日本19.4%、スウェーデン1.7%

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日本における現金流通残高の対名目GDP比率は19.4%で、スウェーデン(1.7%)の約11倍

日本における現金流通残高の対名目GDP比率は19.4%で、スウェーデン(1.7%)の約11倍
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日本銀行決済機構局 2017年2月「BIS決済統計から見た日本のリテール・大口資金決済システムの特徴」

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いま世界は「現金不要」のキャッシュレス決済にむかっています。一方で日本は他の国に比べて現金での決済や現金の保有率が高く、国際決済銀行(BIS)の2015年の調査によれば、日本における現金流通残高の対名目GDP比率は19.4%で、キャッシュレス化が急速に進行しているスウェーデン(1.7%)の約11倍となっています。スウェーデンでは路上販売の雑誌の購入でさえ電子決済のみで、「現金使えません」という掲示のある小売店も少なくありません。こういった掲示をすることは法律でも認められています。
 キャッシュレス決済の広がりにはスマートフォンの普及が背景にあります。スウェーデンでは「スウィッシュ」、中国では「アリペイ」「ウィーチャットペイ」といったスマホのアプリを使って決済できる手段が発達しています。「アリペイ」は中国人観光客の増加に伴って日本でもコンビニなどで導入が進んでいます。日本のコンビニのレジでスマホを見せて支払いを済ませる外国人の様子を目にした人も多いと思います。
 2月28日、三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガ銀行がスマートフォンによる決済で連携し、支払い時に使うQRコードの企画を統一して2019年度の実用化を目指していると報道されました。キャッシュレス決済が進むことは、利用者の利便性だけでなく、金融機関にとっては、輸送費や現金決済、ATMの設置やメンテナンスにかかるコスト削減にもつながり、小売店舗にとっては現金の管理や盗難の心配がなくなります。
 政府は、消費に占めるキャッシュレス決済の比率を2027年までに2016年の2倍の40%に引き上げる目標を掲げています。普及には多くの日本人がキャッシュレス決済に利便性を感じることが大切です。スウェーデンでは、政府と銀行が協力して、まず公共交通料金のキャッシュレス化をすすめ、幅広い年代がキャッシュレスに対応せざるを得ない状況を作ったり現金を扱わない小売店舗には優遇措置を与えるなどの政策がとられました。次に登場したのが、銀行6社が共同で開発したスマホアプリ「スウィッシュ」です。携帯番号と銀行口座がひも付けされ、店での支払いや個人間のお金のやりとりが瞬時にできる簡便さから、さらに普及が進みました。日本が普及にむかう参考になりそうです。キャッシュレス決済の普及は、2020年に東京五輪を控え、外国人旅行者の増加を目指す日本にとって外国人に日本のどこへでも決済のストレスなく旅してもらうためにも重要です。