85% VS 20%

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訪日外国人の約85%が公的施設の早朝開館等の企画への参加意向を示す一方、企画を実施する公的施設等は20%程度にとどまる。

訪日外国人の約85%が公的施設の早朝開館等の企画への参加意向を示す一方、企画を実施する公的施設等は20%程度にとどまる。
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公的施設等の早朝開館等に関する調査結果(概要)

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「日本の夜をもっと楽しみたい!」という訪日外国人旅行者の増加で、「ナイトタイムエコノミー」が注目されています。昼と同じ資源を夜にも活用することで、訪日外国人旅行者の満足度向上とともに、日本経済の活性化にもつながることが期待されています。

ではちょっと視点を変えて、「早朝」だったらどうでしょうか。2018年7月に観光庁は「公的施設等の早朝開館等に関する調査結果」の概要を発表しました。調査によると、訪日外国人の約85%が早朝開館等の企画への参加意向を示しており、参加の希望先としては、神社・仏閣、名所・史跡、庭園、が多いことが明らかになりました。しかしながらその一方で、早朝企画を実施する公的施設は20%程度にとどまっており、利用側と受け入れ側に大きなギャップがあることが分かりました。

多くの訪日外国人が訪れる京都市では、市や事業者などが連携して「朝観光」を推進しています。その背景には観光満足度の向上や消費額の増加、そして混雑を分散化する目的があります。例えば、
   1. 朝参り・・・人気のあるお寺での座禅やお坊さんによる講座の開催
   2. 朝食・・・料亭での朝がゆ、喫茶店でのモーニングサービスの提供
   3. 朝市・・・縁日や地元特産品の市(京やさいのせり見学)
   4. その他・・・施設の早朝開館、朝さくら、朝もみじ、朝湯、朝ウォーキング など

いずれの企画も京都らしさや、朝ならではの新たな魅力を備えた企画となっています。このように、地域がもともと持っている観光資源の魅力を時間帯を変えて見直してみることで、より長い時間、質の高い滞在を提供することができると思われます。また、消費を増加するだけにとどまらず、京都市のように混雑地のオーバーキャパシティの問題にも対処することができます。早朝は夜間に比べて交通網の整備や治安に関して超えるべきハードルが低いことも利点です。

先日、観光庁から発表された2018年4-6月の訪日外国人消費額は1兆1,343億円、対前年同期比では4%の増加でした。増加とはいえ、同時期の訪日外国人客数が15%増加しているのに比べれば、物足りなさを感じる結果です。この打開策の一つとして、各地域、各事業者、各施設における「早朝」への取り組み強化が期待されます。「早起きは三文の徳」・・・。

(岩佐)