32.5%の人が信じるもの

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2020年「占い・おみくじを信じる」と回答した人は2年前より3.8%増え、全体の32.5%となりました。28年前と比較すると8.6%増えています。

2020年「占い・おみくじを信じる」と回答した人は2年前より3.8%増え、全体の32.5%となりました。28年前と比較すると8.6%増えています。
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2020年博報堂生活総研「生活定点」調査

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新型コロナの流行で、先の見えない不安に包まれた生活が1年以上続いています。その影響もあってか占いの人気が上昇中で、有名占い師の本や登場するテレビ番組などが注目されています。博報堂生活総合研究所が1992年から隔年で行っている生活定点調査によると、2020年11月の結果では、「占い・おみくじを信じる」と回答した人は2年前の2018年よりさらに3.8%増え、全体の32.5%となりました。28年前と比較すると8.6%増えています。

また昨年は西洋占星術における、「風の時代」への突入も話題となりました。これは昨年12月、「幸運の星」木星と「試練の星」土星が同じ星座に入るグレート・コンジャンクションと呼ばれる現象が、風の星座に属する水瓶座で起きたことによる、約200年ぶりの時代の変わり目のことです。グレート・コンジャンクションは20年に一度ありますが、これまでの約200年間は、「お金、組織、所有などの物質的な豊かさ」を象徴する「地の星座」で起きていたのに対し、これからの約200年間は、「情報、知識、コミュニケーションや人脈などの目に見えない豊かさ」 を象徴する「風の星座」で起きることから、世の中の価値観が変化するといわれています。

占いの起源は諸説ありますが、古代メソポタミア文明ではすでに占星術が使われていたとされ、今日まで世界各国でさまざまな占いが存在しています。日本でも亀の甲羅の割れ方で吉凶を占う亀卜(きぼく)占いなどが古くから行われており、近年でもノストラダムスの大予言、天中殺や風水、動物占いなどが流行してきました。日本語で占いとは、表に出さない裏の心を意味する、「心(うら)」からきているともいわれています。歴代の王や政治家が、物事を決断するときに占いを使っていた逸話をはじめ、たとえ非科学的なものであっても、人は先の見えない不安の中、信じられるものを求め、背中を押してほしいと願うものなのかもしれません。占いを頼る気持ちに限らず、人の不安は無意識の行動にも現れます。昨年は新型コロナの収束を祈る、アマビエが日本中でブームになりました。また(一社)日本流行色協会(以下、JAFCA)によると、毎年年末に一般投票にて決定しているその年を象徴する色が、2020年はグレーとなりました。発表ではコロナ禍における人々の不安な気持ちの現れとしています。

デジタル時代を反映し、占い師の活動の場にも変化が見られます。動画共有プラットフォームなどでフォロワーを獲得し、オンラインでの鑑定やサロンを活用することで顧客とつながり、知名度を上げてきた新しい占い師が登場しています。また自宅から参加できるオンライン旅行でも、インドやバリなどの現地の占い師に占ってもらうツアーは人気のようです。コロナ禍による環境の変化により、結果として占いはより身近になっているのかもしれません。

どれだけ科学が発達しても、人の感情は必ずしも科学や合理性で説明できることばかりではありません。JAFCAが先ほどの2020年の投票結果と同時に発表した、2021年のテーマカラーは希望を込めた、「はじまりの色、希望のホワイト」です。それぞれが心の不安と向き合いながらも前を向き、時に占いなど目に見えないものを道標に、自分軸の幸せを見つけていく。今年の年末にはグレーとは異なる色が選ばれるような、世の中になっていることを願うばかりです。(Y)

<参考資料>