2秒で決まる!

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スマートフォンを振ると、2秒で旅行の行き先を提示してくれるアプリ

スマートフォンを振ると、2秒で旅行の行き先を提示してくれるアプリ
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合同会社IMAGINAL

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「SHACA SHACA!!」は、スマートフォンを2秒振るだけで、宿泊施設をひとつだけ提案してくれるアプリです。提案される宿泊施設は、利用者本人の現在地や性別、年齢、購買履歴などは一切考慮されず、純粋にランダムで選ばれます。画面には、宿泊施設の名前と所在する都道府県だけが表示され、写真も価格もありません。利用者に必要な作業は、「そこに行くか」「行かないか」の決断だけです。

シャカシャカ

©合同会社IMAGINAL

このアプリには、国内旅行の宿泊提案の他にも、レシピや飲食店バージョンがあります。夕飯の献立や外出先でのランチなど、誰もが一度は「自分で探して決めるのは面倒、誰かが決めてくれたらいいのに…」と思ったことがあるのではないでしょうか。わたしたちは、「失敗したくない」という気持ちから、検索を重ね決断まで時間をかけてきました。このサービスはそんなわたしたちに、よりシンプルに、直感的に決めることの面白さを教えてくれます。

AIの普及などデジタル技術のさらなる進化によって、人々は行動や購買履歴などから、より自分好みの“ウルトラパーソナライズ”な商品やサービスの提案を受けることが可能になってきました。さらにAIによる提案は自分の意識下にはない、あるいは検索だけではたどり着けない「まったく新しいモノやコトとの出会い」の機会をもたらしてくれるかもしれません。しかしそれが便利だと思う一方で、「SHACA SHACA!!」のような「未知との遭遇」に新鮮さと特別なワクワク感を覚えるのは、むしろ今の時代だからこそなのではないでしょうか。

そんな「未知との遭遇」を提供し心を掴んだのが、「どこかにマイル」というJALのマイレージサービスのプランです。行き先を指定できないかわりに、通常の半分以下のマイルで往復搭乗券を交換することができます。代わりに行き先を決めてもらい、お得にどこかに行くということが受け、開始1年で6万人が利用する人気サービスとなりました。海外では、富裕層向けの「想像を超えた体験」を提供する旅行サービスが話題です。例えば、行き先を一切知らせないハイエンドなコンテンツを揃えたミステリーツアーや、イエローストーン国立公園やベイルマウンテンなど景観保護地区内での期間限定の想像を越えた体験ツアーも注目されています。

「自分で調べない」「自分で決めない」でも、「失敗しない特別な体験」を担保できるビジネスは、デジタル社会で意外と広がるかもしれません。

(おか)