コロナ禍に世界から10万人

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新型コロナウイルスの影響で世界最大規模の同人誌即売会である「コミックマーケット(通称コミケ)」が初の中止になる中、バーチャル空間での即売会である8月に開催されたComicVket1には、4日間で世界から約10万人が参加しました。

新型コロナウイルスの影響で世界最大規模の同人誌即売会である「コミックマーケット(通称コミケ)」が初の中止になる中、バーチャル空間での即売会である8月に開催されたComicVket1には、4日間で世界から約10万人が参加しました。
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(出典1)株式会社HIKKYプレスリリース 「バーチャル秋葉原で開催された同人誌即売会「ComicVket1」に世界から延べ約10万人を超える来場。377サークル、60企業が参加。」

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新型コロナウイルスで今年は多くのイベントが中止になってしまいました。世界最大規模の同人誌即売会である「コミックマーケット(通称コミケ)」も2020年夏は初の中止となりました。

コミケは1975年から東京で、年2回開催されている同人誌即売会で、プロアマ問わず個人、または複数人で自費出版したオリジナルの創作物を頒布する場です。そのジャンルはアニメや漫画、ゲームだけでなく、鉄道や旅行まで多岐にわたります。また会場には様々なキャラクター衣装に身を包んだコスプレイヤーや、その撮影を目的にしたカメラマンなども多く参加しています。来場者数は年々増加傾向にあり、2019年12月の来場者数は、4日間で国内外から延べ75万人と過去最大を記録しました。経済波及効果は100億円を超えたとも言われています。

コミケでは、同人誌の購入者が作者に感想を伝える、制作した思いを作者が購入者に直接伝える、といった双方向のコミュニケーションが可能です。同人誌そのものを手に入れることが目的ではなく、イベント会場を訪れることや参加者との交流、来場前に目的としていた同人誌以外の同人誌にも出会えること、日常とは異なる場の雰囲気を味わうことなども、魅力になっていると考えられます。

コミケが中止となった今年、同人誌即売会の新たなありかたとして、バーチャル空間での即売会(ComicVket)が4月と8月に催されました。ComicVketではオンライン上に会場を移しても、人との交流や会場の雰囲気を楽しめるよう、これまでのコミケに近い体験ができる工夫が施されました。例えば、同人誌を試し読みしてから購入できたり、コスプレの代わりに参加者が好きなアバターに扮したり、会場もバーチャル空間ならではのビジュアルも加わったりなどの仕掛けがありました。その結果、8月に開催されたComicVket 1には、4日間で世界から約10万人が参加しました。

リアルでもバーチャルでもコミケの魅力は同人誌の即売だけでなく、普段の生活では満たすことができない「2つの欲求」を満たしていると考えられます。①同じ趣味を持つ者同士の交流を通し人と繋がりたい欲求、②自作の同人誌が手に取られる光景やコスプレ姿を見られたい自己充足感です。

仕事や余暇を過ごす場所をオンライン上に移行したとしても、人との繋がりを求める欲求などは、今後もなくならないと考えられます。オンラインへの取組を進める上では、オフラインで人が真に魅力に感じていたものは何かを深く理解し、オンライン上でも変わらずその魅力を感じられる仕組みづくりが重要になると考えられます。(ちーば)