自治体における、観光サイトの国際度(外国語対応)実態調査まとめ

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結果概要

  • 自治体における観光サイトの外国語対応は22.7%
  • 地域別では北陸38.9%、県別では富山県56.3%がトップ
  • 最高評価は13 ポイントの横浜市(満点は16 ポイント)

株式会社ツーリズム・マーケティング研究所(現JTB総合研究所)は、自治体の観光サイトの外国語対応の実態についての調査結果を発表しました。

この調査は、都道府県および市町村の合計1878 サイト(※)を対象に、外国語による観光サイトの有無をはじめ、提供している情報の内容と新鮮性、販売へとつなげる導線、サイトを通してのお客様との双方向性、サイトの使いやすさについて、合計16 のチェック項目を設け、サービスの実態を調べたものです(2006 年5 月現在)。
※評価対象の選定方法については、文末の「評価対象の選定方法」の欄をご参照ください。

調査結果の注目ポイント

47都道府県と全国の市町村の総計1878サイト(※)のうち、観光サイトの外国語対応を展開している自治体は427サイトで全体の22.7%でした。(※評価対象の選定方法は、「評価対象の選定方法」参照)

地域別では北陸38.9%(54自治体のうち21自治体が対応)、東海32.8%(180自治体のうち59自治体が対応)、近畿27.7%(213自治体のうち59自治体が対応)の順でした。

県別のトップ3は富山県56.3%(16自治体のうち9自治体が対応)、愛知県53.1%(64自治体のうち34自治体が対応)、神奈川県44.4%(36自治体のうち16自治体が対応)、福井県44.4%(18自治体のうち8自治体が対応)という結果になりました。

観光サイトの対応言語は英語が99.3%(424自治体)と高く、韓国語28.3%(121自治体)、中国語(繁体字と簡体字の合計)27.2%(116自治体)が続いています。

今回の調査では、対応言語をはじめ、地図やアクセス情報、イベント、アクティビティ、ホテルや旅館へのリンク、双方向コミュニケーションなど16 項目について、その記載があるかどうかをチェックしました。その結果、13ポイントを獲得した横浜市がトップになりました。次いで12ポイントを上げたのは神奈川県、静岡県、大阪市です。全427サイトの平均は4.87ポイントでした。

テーマ別考察[各説]

  • 自治体の観光サイトの外国語対応について
    1. 日本の自治体における観光サイトの外国語対応は22.7%
    2. 地域別では北陸38.9%、県別では富山県が56.3%でトップ
    3. 対応言語別では、99.3%で英語がトップ、2位は韓国語、3位は中国語

    47都道府県と全国の市町村の総計1878サイトのうち、外国語対応を展開している自治体は427サイトで全体の22.7%でした。英語/韓国語/中国語(繁体字)/中国語(簡体字)/その他言語(ポルトガル語、スペイン語など)で評価し、4つのうち1つでも該当言語があれば、外国語対応しているとみなしています。

    全国を北海道、東北(6県)、関東(1都6県)、甲信越(3県)、北陸(3県)、東海(4県)、近畿(2府4県)、中国(5県)、四国(4県)、九州・沖縄(8県)の10エリアにわけて調査しました。地域別では北陸38.9%(54自治体のうち21自治体が対応)、東海32.8%(180自治体のうち59自治体が対応)、近畿27.7%(213自治体のうち59自治体が対応)の順でした。

    県別のトップ3は富山県56.3%(16自治体のうち9自治体が対応)、愛知県53.1%(64自治体のうち34自治体が対応)、神奈川県44.4%(36自治体のうち16自治体が対応)、福井県44.4%(18自治体のうち8自治体が対応)という結果になりました。
    対応言語は英語が99.3%(424自治体)と高く、韓国語28.3%(121自治体)、中国語(繁体字と簡体字の合計)27.2%(116自治体)が続いています。ポルトガル語も3.5%(15自治体)ほどあり、フランス語やスペイン語も1%を超えています。そのほか、イタリア語やロシア語、フィリピン語、ベトナム語などに対応している自治体もありました。これは、姉妹都市との関係で展開していると推測されます。

  • 位置情報について
    1. 日本地図内での位置関係は42.4%、地域内マップは56.0%
    2. 成田空港からのアクセス情報は14.1%
    3. 東京からのアクセス情報は46.4%

    旅行では地図のニーズが高いことも踏まえ、たとえば、日本のどの辺りに位置するのか、あるいは地域内(県内)の位置はどこかという情報の有無を調 査しました。日本地図やエリアの位置関係をイメージしにくい外国人向けであるため、文字情報ではなくビジュアルとしての地図情報があるかを調べています。 その結果、日本地図内での位置関係を示していた自治体は42.4%(181自治体)、エリア内位置情報は56.0%(240自治体)でした。地図情報は旅 行の基本項目ともいえるので、もう少しユーザーへの配慮がほしいところです。

    成田空港から目的地(各自治体)までのアクセス情報を掲載しているのは14.1%(60自治体)でした。地域によっては、関西国際空港や中部国際 空港、または地域の国際便発着空港からのアクセス情報を載せている自治体もありました。地域の空港を発着するアジア方面の国際線は数多くあるので、地元空 港からのアクセス情報は重要ですが、アジアの特定国に限らず外国人誘致を促進するのであれば、日本に就航する国際線の半分以上が発着する成田空港からのア クセス情報は必須項目として望まれます。

    成田空港と同様に、日本の玄関口ともいえる東京からのアクセス情報もほしいところです。東京からのアクセス情報がある自治体は46.4%(199 自治体)でした。東京から遠距離になるほど、各地域の中心都市からのみの情報を掲載する自治体が多く見受けられました。たとえば近畿では大阪から、東海で は名古屋から、九州では福岡や鹿児島からといった具合です。

  • 掲載内容について
    1. ホテルや旅館の予約リンクは26.2%
    2. イベント情報は68.4%、アクティビティ情報は54.8%
    3. 双方向型のコミュニケーションは未発達

    旅行を計画する場合、現地で体験できる素材検索のほか、宿泊施設も重要なポイントになります。サイト内で予約まで完結できるのが理想ですが、今回 は次のアクションを起こせるという観点から各宿泊施設などへのリンクまたは電話番号記載の有無を調べました。ホテルや旅館へのリンクあるいは所在地や電話 番号を記載しているのは26.2%(112自治体)。ユーザー視点で考えればもう少し配慮がほしいポイントです。各宿泊施設へのリンクも、ジャンプ先のサ イトが日本語対応のみという場合も多く見受けられました。これは自治体だけの問題のみならず、ホテルや旅館の意識向上を期待したい部分です。

    イベント情報は68.4%(292自治体)と比較的関心度が高いようです。写真とタイトルのみといった簡潔な掲載から、日時や場所、概要、由来な どの詳細な記述まで、各自治体によって充実度の差が大きいのもイベント情報でした。アクティビティやアトラクションに関する情報は54.8%。こちらは自 治体によって掲載手法がかなり異なり、ActivityやExperienceなどと項目を立ててわかりやすいサイトがある一方で、見どころやモデルルー トの中に記述が埋もれてしまって、すべて読まないとわからないといった不親切なサイトも見受けられました。

    サイトの特徴の1つに双方向型コミュニケーションがあります。日本語サイトではメールマガジンやモバイルサイト、RSSなどの展開が増えています が、外国語対応サイトではほぼ未対応です。メールマガジンを英語で配信しているのは1.2%(5自治体)。モバイル対応やRSSは皆無でした。メールマガ ジンは、潜在個客とのマーケティングコミュニケーションツールとして海外では市単位で取り組んでいる例も多く、日本の自治体も検討したいところです。ま た、メールやウェブに続く第三のインターネットメディアと呼ばれるRSSは、今後最も注力したい項目です。

  • 全体的な評価ポイントとして
    1. 最高評価サイトは横浜市
    2. 動態情報の掲載は今後の課題
    3. 情報の一元化が必要

    今回の調査では対応言語をはじめ、地図やアクセス情報、イベント、アクティビティ、ホテルや旅館へのリンク、双方向コミュニケーションなど16項 目について、その記載があるかどうかをチェックしました。その結果、13ポイントを獲得した横浜市がトップになりました。次いで12ポイントを上げたのが 神奈川県、静岡県、大阪市。全427サイトの平均は4.87ポイントでした。

    横浜市では毎月のインフォメーションを掲載していますが(現在5月分を掲載中)、サイトの鮮度を確かめる意味でも動態情報があるかどうかは重要ポ イントになってきます。What’s NewやTopicsといった鮮度のある動態情報を掲載しているサイトは4.4%(19自治体)で、対応している自治体が少ないのが現状です。双方向コ ミュニケーションにも共通しますが、ユーザーの関心度を高める効果が望めますので、動態情報の掲載は今後の課題といえるでしょう。

    同じ都市(都道府県)の観光情報を、市(都道府県)と観光協会(観光連盟、観光コンベンションビューローなど)がそれぞれ別に展開している例が少 なくありません。その結果、ユーザー視点からすると動線がわかりにくく、また検索した場合、オフィシャルとされているのがどのサイトなのか混乱を生じやす い原因にもなります。自治体トップにリンクさせるとか、観光情報は観光協会のサイトへジャンプさせるなど、連携して混乱を避けるのはもちろん、最大化して いく仕組みが必要です。

    そのほか、全体を通して、日本政府が「外国人旅行者訪日促進戦略」の一環として推し進める「ビジット・ジャパン・キャンペーン」(VJC)事業のロゴ掲載や、同キャンペーンサイトへのリンクは少ない印象でした。

    また今後は、コンテンツの質的な面も重視していく必要があります。例えばその言語を母国語とするひとびとにとって、掲載している文章が低クオリ ティだと、サイトの品格も低く評価されてしまいます。その意味でも、現在の外国語ウェブサイトの質的な検証をおこなうことが大切です。

調査・研究結果 本文

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調査概要

調査手法
インターネットリサーチ
調査対象
47都道府県(47サイト)と全国の市町村(1831サイト)
調査期間
2006年3月10日~31日(一部、4月1日)、4月1日~5月5日(再調査)

調査に関するお問い合わせ

株式会社JTB総合研究所
〒140-0002東京都品川区東品川2-3-14 東京フロントテラス7F
03-6260-1211