「今シニア」「新シニア」の暮らしとライフスタイル

~日経新シニアライフデザイン研究会、JTB総合研究所共同調査~

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結果概要

  • 年代別にみる現在の生活や暮らし
    • 現在の生活には若い世代より余裕が感じられるが、景気の見通しには悲観的。将来の不安のトップは健康
    • 近隣の人との関わりは「顔を合わせた時に挨拶する程度」がシニアでも過半数(全体57.0%、60歳以上52.4%)。70代女性は「サークルや趣味の活動」、男性は「清掃活動やボランティア活動」での関わりが大きい。
    • 全年代の7割以上は幸せを感じる。60歳以上は「幸せ」が多い傾向。最も幸せ度が低いのは50代
  • みんなが考えるセカンドライフ(老後)とは
    • セカンドライフの開始は「65歳から」と考える人が最多。次に多いのは「60歳から」
    • 今シニアの理想のセカンドライフは「経済的な余裕」「時間に追われずゆったりすごす」「話し相手がいる」
    • 自宅や土地を所有せずに「借りて済ませてもよい」は若い世代に多い。自宅(49歳以下44.7%、50~64歳29.7%、65歳以上22.0%)、土地(49歳以下25.2%、50~64歳21.0%、65歳以上16.0%)
    • 新シニア女性は「一人暮らしを覚悟」。今シニア女性は「自立して一人で暮らしたい」と現実的な課題に。
      (プロフィールより、70代一人暮らし割合は男性8.8%、女性20.4%)
    • 女性は日常は一人で、非日常(旅)は誰かと。男性は日常は誰かと、非日常は一人で。
  • 今シニアからみる“幸せシニア”のポイントと“働く”ことの重要性
    • “幸せシニア”を下支えすることは「医食住(健康や暮らし)・行(移動や旅行、学び)・働(仕事・役割)」
      経済と健康をベースに「人や地域との交わり」「学びの機会」「社会への役割意識」
    • 「仕事をしたくない」今シニアは11.0%。定年退職後も働きたい人が多い。経済的な基盤と社会との接点や役割意識を持つための“働”が重要に
  • セカンドライフにおける「旅のチカラ」
    • 旅行するだけではなく、サービス提供側としてのシニアの可能性に注目。宿泊場所やガイド、料理作りなど、時間や知識のシェアサービスも、“働”の選択肢の一つに。
    • 普段のお出かけがおっくうにならないための日々の「きっかけ」づくりは旅行寿命の延長に大切。
    • セカンドライフの理想の旅行は今シニアと新シニアでは違うことに注意。新シニアは同じ時間をかける旅でも「趣味を深める」「暮らすように楽しむ」ことを思い描きながら、今を過ごす

日経新シニアライフデザイン研究会は2014年以来、業種業態を超えた企業の参加を得て、これからの社会のさまざまな課題を掘り下げ、新たなビジネスチャンスの開発を目指してきました。今回、シニアの暮らしの意識とライフスタイルを調査することで、あらためて今のシニアを捉え直し、マーケティング活動やビジネス開発に役立て、これからの社会の姿をイメージするための一助としたいと考えました。

今回の調査には、日経新シニアライフデザイン研究会、JTB総合研究所の他に、同研究会のメンバー企業の中から、大和ハウス工業株式会社、株式会社デンソー、クリナップ株式会社、株式会社富士通総研に参画いただき、それぞれの分野の専門的な知見を反映させることができました。

セカンドライフの始まりは65歳から:今からちょうど60年前の1956年(昭和31年)に65歳以上が高齢者と定義されました。その時の平均寿命が65歳。この60年はすなわち未経験の人生を生きることが大きな課題であったことがわかります。60年間で多くのことが変わりました。今の65歳は60年前とはまったく違います。セカンドライフの入り口に立ち、残りの20年なり30年なりをどのように生きるかを問われています。今回の調査からそのあたりの意識がある程度抽出できたのではないかと考えます。
調査からわかってきたことは、“今シニア”はこれから20年、30年と生きることを念頭に、今後の経済見通しを厳しく持ち、節約するところは節約するが、これはというものには支出も厭わない、人生を楽しむということも考えている、守るべきところはしっかり守り、攻めるときはチャンスを逃さない、理想的なサッカーの試合運びを思わせるような「しっかりシニア」であるということです。また、今シニアの予備軍である50代は逆に多くの課題や不安に直面する悩み多き世代であることも浮き彫りになりました。
「新シニア」は40歳からを指しています。悩み多き50代を踏まえて60歳、65歳で本格的なセカンドライフを送るためにも、40代から滑走路を設けて準備することが必要だとの考えから生まれたコンセプトです。
キーワードは医(・)食住(健康や暮らし)・行(移動や旅行、学び)・働(仕事・役割):その中でも、働き方改革元年と呼ばれる今年に時をあわせ、「働」というキーワードが見えてきました。長く生きるために、経済的な要素は避けて通れませんし、生きる目的として多様な意味で「働」を考える人が多くなってきているのがわかります。
団塊の世代がまさに70代に入っていく今年、企業にとっても今までのマーケティング、今までのやり方は大きく変わらなければなりません。課題にしっかり向き合うことで、あらたなビジネスチャンスを掴むために、本調査の結果が役立てば幸いです。

(日経新シニアライフデザイン研究会)

*「今シニア」:完全退職が広がる65歳以上の現役シニア 
「新シニア」:シニアへの準備段階である50~64歳(日経新シニアライフデザイン研究会では40~49歳も含む)

調査・研究結果 本文

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調査概要

調査方法
インターネットアンケート調査
調査対象
日本全国に住む18歳から79歳までの男女2,472名

過去1年以内に1回以上、旅行(国内外問わず、日帰り含む。ビジネス旅行は除く)経験あり
調査期間
2016年10月25日~11月10日

調査に関するお問い合わせ

株式会社JTB総合研究所
〒140-0002東京都品川区東品川2-3-14 東京フロントテラス7F
03-6260-1211