台湾からの旅行者の心理と行動に関する調査研究

~ビッグデータ×ライフスタイルマーケティング(ナビタイムジャパン・JTB総合研究所 共同調査)~

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結果概要

  • 直近の日本への旅行から
    • アンケート調査対象者(2015年9月以降に個人旅行で日本を訪問した20~68歳の台湾の男女)の平均訪日旅行回数は6.29回。直近の旅行の満足度は高く、94.8%が2年以内に再訪意向あり
    • 入国⇒出国の空港の組み合わせは「関西⇒関西」22.6%、「成田⇒成田」21.3%。初回の旅行と比べ、「那覇⇒那覇」、「福岡⇒福岡」、「中部⇒中部」が増加、西高東低へシフト。異なる空港の利用は少ない
    • 一旅行あたりの宿泊箇所数は1か所が40.7%。宿泊はカジュアルなホテル64.3%、民泊は10.4%
  • 訪問先の傾向から考える地方への旅行の可能性
    • 首都圏、山梨、関西など大都市部や有名観光地では訪日回数4回以下の旅行者割合が高く、地方の県では、訪日経験豊富な旅行者(訪日回数5回以上)の割合が高い(GPSデータ)
    • 初めての旅行の都市の組み合わせは、(1)首都圏、関西およびそれらを結ぶゴールデンルート(2)札幌圏(3)福岡圏が中心。直近の旅行では(1)北陸圏(2)東北圏が加わり、広域移動は減少(特に西日本)
    • 過去1年間で台湾からの旅行者が増えていた場所は、初訪日では名古屋市、日光市、宇治市、白川村、金沢市訪日2回以上の旅行者では、常滑市、湯沢町、吹田市、岡山市、盛岡市など。リピーターはLCCも活用か
    • 地方に商機。普段の海外旅行は大都市志向が64.1%。日本旅行では「田舎を訪れるのが好き」55.8%
  • 日本への旅行で何をしたいか
    • 「桜を見たい(54.1%)」「懐石料理など高級な和食を楽しみたい(54.1%)」「紅葉狩りをしたい(48.4%)」桜、食は大都市志向に多く、 祭り、世界遺産、ローカル列車、観光列車は田舎志向に多い
    • 日本人との交流意向は「日本の日常生活に触れたい」44.3%。年齢が若いほど日本の日常生活や、地域の活動への参加に関心。桜は自然風景としてではなく、日本人が楽しむ「花見」体験として人気が高い
    • 地方への旅行でもショッピングは重要事項。訪問回数が増えてもアウトレットへの訪問率は変わらない
  • 旅に関わる普段のライフスタイル
    • 台湾からの訪日旅行者がファッションやライフスタイルで参考にする国・地域は、日本(日本60.5%、台湾42.4%)
    • 半数が「あらかじめ旅行先について詳しく調べてやり残しがないようにしたい」。経路検索サービスのアプリは台湾でダウンロードが84.5%。観光振興は旅行前の台湾での情報発信が重要に

株式会社JTB総合研究所(東京都港区 代表取締役社長 野澤肇)と株式会社ナビタイムジャパン(東京都港区 代表取締役社長 大西啓介)は共同調査「台湾からの旅行者の心理と行動に関する調査研究」を実施しました。

訪日外国人旅行者は旅行経験を重ねるほどFIT(航空券と宿泊施設を予算や行程に合うように自分で調べ、それぞれ予約、購入する個人旅行)や、航空券と宿泊施設がセットになった自由行動のパッケージツアーの利用が増える傾向があります。

台湾から日本への旅行者については、2004年には100万人を超え、近年急増している中国や東南アジアの国々より早い時期から多くの人が日本旅行を経験してきました。2015年は人口約2,300万人に対し、延べ海外旅行者数は1,318万人、うち日本への旅行者は368万人を記録しています(台湾行政院主計総処および日本政府観光局による)。その旅行者の大半がリピーターかつ個人旅行者で、その動きは多種多様と考えられています。実際彼らは日本でどこに行き、どのような行動をしているのでしょうか。行動の背景にはどんな価値観や志向があるのでしょうか。また日本はこれからもポテンシャルの高い旅行先であり得るのでしょうか。いずれ他のアジア諸国の旅行者も旅行経験を重ねるにつれ個人旅行が増加すると考えられます。その変遷を予測し、日本の観光資源をどう活用するか知るためにも、台湾からの旅行者が何を考え、どんな旅行をしているのか知ることは意味がありそうです。

一方、個人の旅行者の動きはアンケート調査だけで詳細に捉えることはできません。本人の意思や自覚と関係ない行動を把握することは難しく、また観光地の数は計り知れず、線や面での旅行者の細い動きを全て聞き出すことは困難です。近年はビッグデータの解析技術が向上し、GPS(位置情報)やPOS(販売時点情報管理)、SNSデータなどを活用した生活者の具体的な行動把握が可能となり、今後の活用が期待されます。ただし観光は旅行者の感性や気分によるところも大きく、ビッグデータ単体だけを見ていても表面的な事象に捉われ、「なぜその行動を起こしたのか」「どんな体験価値を求めていたのか」という行動の背景が見えにくく、機能中心の改善策や一時的な他地域の成功事例を追うだけで、本質的な施策を深堀できない一面もありそうです。この課題を解決するべく、株式会社ナビタイムジャパンとの共同研究で、GPSデータとアンケート結果を合わせた分析を行い、旅行者の滞在箇所、観光素材の訪問意向、旅行の傾向など、台湾からの旅行者の姿を可視化しました。その一部を紹介します。

調査・研究結果 本文

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調査概要

調査手法
台湾からの旅行者へのインターネットアンケート調査
調査期間
2017 年 1月11日(水)~1 月17日(火)
対象者
台湾に居住し、2015年9月以降に「個人旅行」で日本を訪れた20~68歳の男女 計800名
NAVITIME for Japan Travelの利用データ分析
  • データ:スマートフォン向け経路検索・観光案内アプリNAVITIME for Japan Travelダウンロード時のアンケート回答データ、およびユーザーの同意を得て取得したGPSによる移動データ

  • データ抽出期間:2015年9月1日~2016年8月31日(1年間)

  • 対象者:台湾に居住し、2015年9月1日~2016年8月31日にNAVITIME for Japan Travelを日本国内で利用した訪問者 計10,408名
  • 調査に関するお問い合わせ

    株式会社JTB総合研究所 企画調査部
    調査分析担当: 早野、波潟
    報道関係者からのお問合せ: 早野、三ツ橋、波潟
    TEL:03-6722-0759 Email: contact@tourism.jp
    URL: www.tourism.jp

    株式会社ナビタイムジャパン 
    インバウンド事業: 藤澤
    交通コンサルティング事業: 小竹
    TEL:03-3402-0827  Email:consulting-group@navitime.co.jp
    URL: http://consulting.navitime.biz/
    報道関係者からのお問合せ: 
    TEL:03-3402-0711 Email:pr_n@navitime.co.jp