キャンプ場35万か所以上

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アメリカのキャンプ版airbnb、「Hipcamp」は私有地も含めたキャンプ場を35万か所以上紹介

アメリカのキャンプ版airbnb、「Hipcamp」は私有地も含めたキャンプ場を35万か所以上紹介

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「キャンプ芸人」に「キャンプ飯」。最近、キャンプをテーマにしたテレビやYoutube、SNSが増えたように思います。オートキャンプ白書によると、日本のオートキャンプ参加人口は1996年に1,580万人のピークとなりましたが、その後減少し続け、2008年には半数以下の705万人になりました。同白書に施設数の推移の記載はありませんが、2000年以降に開設されたオートキャンプ場の施設が2割に満たないことから、施設の老朽化や参加人口の減少により施設数も減少していると考えられます。しかしながらオートキャンプの参加人口は、2013年から増加に転じ、以降5年連続で参加人口が増え続けています。豪華なキャンプを楽しむグランピングや、キャンプ場でサウナを楽しむサウナキャンプなど、新たなキャンプの楽しみ方も登場し、幅広い層が楽しむようになりました。キャンプ場の稼働率も増加し続け、2017年は2003年以降最高となる平均15.0%を記録しました。筆者自身、週末はよくキャンプに行きますが、最近では1か月前でも予約がとりにくく困ることがあります。

こういったキャンプ事情は日本に限ったことではありません。

アメリカのレポート、THE 2019 NORTH AMERICAN CAMPING REPORTによると、「年に1回以上キャンプをする」世帯が2014年の3200万世帯から2018年の3920万世帯と23%増加し、日本と同様にキャンプ利用者が増えています。こういったキャンプ需要に呼応するかのように新たなサービスも登場しています。キャンプ版airbnbとも言えるオンラインサービス「Hipcamp」の存在です。

「Hipcamp」は、全米35万か所以上のキャンプ場とキャンパーをマッチングするプラットフォームです。その特徴は既存のキャンプ場だけでなく、今まで活用されていなかった私有地もキャンプ可能な場所として紹介していることです。これまで所有者が個人の目的に使用していたり、キャンプ場やアウトドア施設の価値や需要がないと考えられていたりしていた土地を提供することで、一般的なキャンプ場とは一味違う新たなキャンプの楽しみを提供しています。場所は農場にぶどう園、牧場など他の目的で使われている土地や、沼地・荒地で活用されていない遊休地など多岐にわたります。アメリカの土地の60%とも言われる私有地をキャンプ場として提供することは、「土地と自然を有効活用したい」と考える所有者のニーズにも応えることで、利用者と所有者の双方にメリットを生み出しています。

キャンプ人口が増加傾向にある日本でも、遊休地活用の取組みが広がるかもしれません。日本でも現在利用されていない土地を貸し切り利用できるキャンプ場として紹介するサービスも昨年生まれ、地方に多く見られる未利用地・耕作放棄地の有効活用をめざしています。中にはマリーナを活用した水上キャンプ場など、今までのキャンプ場では考えられなかった場所も紹介されており、利用者としても新たな体験の価値が生まれそうです。通常のキャンプ場と違い私有地を解放する場合、野外でもあることから、宿泊の際の安全面や最低限の設備、支払方法など、利用者が安心できるよう環境整備を進め、課題が解決できれば、今後日本でもこういったサービスの利用が増えるかもしれません。

(じん)

日本におけるオートキャンプ参加人口とオートキャンプ場稼働率の推移

オートキャンプ白書2018よりJTB総合研究所作成

アメリカにおけるキャンパー世帯の推移

THE 2019 NORTH AMERICAN CAMPING REPORよりJTB総合研究所作成