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FRE~EDO~M ~3つの大陸で育まれた自由な視点から’今’をみる~

ハートフルな国クロアチアで地震が発生

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私の父の故郷であるクロアチアが独立してから20年余りが経過し、共産主義から民主主義への移行にあたり、多くの困難を乗り越えてきました。現在クロアチアの人口は410万人、28番目のEU加盟国となり、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国でもあります。美しいアドリア海に望む、この東欧の国は、2021年現在、10か所のユネスコ世界遺産や17個の無形文化遺産をもち、美食の国としても知られています。

1年前、新型コロナウイルスがこれほど世界を変えるとは、誰にも想像できませんでした。クロアチアも他のヨーロッパ諸国と同様、絶えず変異しているウイルスに対し、経験したことのない厳しい戦いを強いられています。クロアチアでは、4月の最初のロックダウン後、新規感染者数を0にすることができ、5月にはロックダウンを解除し、国内外の観光客に国境を開放しました。その結果、1月から12月の期間、国内の累積宿泊日数は前年比50.05%まで回復できており、コロナ禍でも優秀な実績を残していました。すべてが順調に回復しているように見えましたが、新規感染者が急増し始め、12月には1日あたり4,620人の新規感染者数を記録しました。厳しい生活規制が再び適用され、人々の健康と経済活動を維持するための、適切なバランスを見つけなければいけない困難な状況に直面しています。

そのクロアチアで2020年12月29日、マグニチュード6.4地震が発生し、何千棟もの住居や建物が倒壊、死者や負傷者などの犠牲者が出るなど、多くの家族が日常の生活を失いました。今回の地震はクロアチア内陸部にある、ペトリニャ(Petrinja)、シサク(Sisak)、グリナ(Glina)と近辺の村が一番大きな被害を受けています。1月中旬現在、クロアチアの政府が各家を確認しており、既に2500軒以上が住めない状況と発表されています。その中には戦争後、建て直した家も含まれているようです。クロアチアは地震が少ない国のため、建物の耐震性が弱かったこともあり被害は大きく、今一番の課題は被災者の住まいの確保と考えられます。また政府は被災地での、新型コロナウイルスワクチンの優先接種を進めています。

クロアチアは終戦から短い期間で、観光産業を成長させてきました。観光客数が過去最多となった2019年、クロアチアには1,730万人以上の外国人観光客が訪れており、日本からも15万人以上が訪れました。クロアチアの人々は友好的であり、一般的に3、4か国語を話すことができ、多くの観光客が「歓迎されている」と感じる理由の一つと言えそうです。

9年前、東日本大震災が発生した際、多くのクロアチア人が、日本に励ましのメッセージと寄付を送り、被災者に共感を示しました。同じ時期、クロアチア国内で政府に対するデモを行っている映像が残っていますが、日本大使館の近くを通り過ぎる際、デモ隊は静寂を保っていました。このように日本への配慮を見せていたことからも、クロアチアの人々のその心に触れることができます。

クロアチアの歴史上、有数の巨大地震の発生は、すでに日本の方々の耳に届いており、自主的にメッセージや寄付の募集活動が始まっています。日本・クロアチア両国の友好を示し、支援の輪が広がることを願っております。

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