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FRE~EDO~M ~3つの大陸で育まれた自由な視点から’今’をみる~

戦争が観光にプラスになることはあるのでしょうか?

新型コロナの大流行で私たちの生活は一変し、行動制限や我慢を強いられるようになってから2年余りが経ちました。
観光は自由の本質であり、人々は常にその在り方を求め続けています。そこでヨーロッパの観光地が、現在の状況にどのように対応しているかを見てみましょう。

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新型コロナの大流行で私たちの生活は一変し、行動制限や我慢を強いられるようになってから2年余りが経ちました。健康を守るためのたくさんの規則や新しい仕事スタイル、その他多くの新しい日々の習慣を取り入れながら、どんな状況にも対応し、幸せを手に入れるために最善の方法を見つける力を改めて示すことになりました。
 観光は自由の本質であり、人々は常にその在り方を求め続けています。そこでヨーロッパの観光地が、現在の状況にどのように対応しているかを見てみましょう。

フランス:長い間、外国人観光客の目的地として世界をリードしてきたフランスは、2021年と比較すると、旅行の予約はすでに30~40%増えており、特定の客層ではパンデミック前である2019年よりもさらに15~20%増えています。予約のタイミングは前年より1ヶ月ほど早くなっており、人々はより質の高い宿泊施設やサービスを得るために、料金をより多く支払う準備ができているようです。

スペイン:スペイン統計局の発表によると、2022年2月、スペインを訪れる海外からの入国者数は320万人となり、これはパンデミック前の71%になります。支出額は37億米ドルに達し、2019年の78%に相当します。2022年第2四半期について、スペインは外国人観光客数がコロナ禍前の80%に達すると予想しています。特に北欧諸国からの増加が顕著で、デンマークとスウェーデンからの予約は2019年と比較して40%近く増加しています。次いでドイツからは26%増、イギリスからは13%増となっています。アメリカ人観光客もスペインに魅了されているようで、現時点で観光客数は2019年に比26%減にとどまっています。

イタリア:1999年以降、イタリアにおける旅行・観光産業は国内総生産(GDP)の10~15%を占め、その重要性が伺えます。2020年は、2019年と比較して1,000億ユーロ以上の損失があり、割合は7%に低下しました。イタリアの旅行業協会であるFederturismoの代表は、「2022年春夏はパンデミックによる長いトンネルの終わりを迎え、市場調査によると、現在イタリアはアメリカ、ドイツ、オーストラリアからの観光客にとって一番の目的地になっている」と述べています。さらに全体の見通しについて、今年の旅行客数は2019年より大きくなると予測しており、理由の一つとして、人々がこの2年間使えなかったお金を今年は旅行に使いたいと思っていることを挙げています。

イギリス: G7のメンバーだからといって、自然に観光産業が盛んになるわけではありません。パンデミックによる旅行に関する規制を開始して以来、イギリスは観光産業の回復に多くの課題を抱えていました。しかし世界旅行観光協議会(WTTC)の予測では、2022年のイギリスにおける観光産業の経済への貢献度は、2019年と比較して19%減の1,920億ポンドにまで回復するとしています。さらに良いニュースは、観光業に従事する人口が推計で430万人に達し、2019年よりも7万人多くなることです。

クロアチア:ウクライナ侵攻が始まる前のクロアチアの観光産業は、(コロナ前の)2019年以上に良い状況でした。侵攻が始まってから予約のタイミングは遅くなっていますが、キャンセルはありません。直前予約を意味する「ラストミニット」の予約は以前も非常に人気がありましたが、今はさらに直近の「ラストセカンド」の傾向が強くなっており、最終的にクロアチアの観光が2019年より好調かどうかはいずれ分かるでしょう。昔からドイツはクロアチアにとって最大の市場で、2019年は40%でしたが(EU圏以外の観光客がまだ復活していないため、)2021年は70%のシェアとなっています。

2年にわたる旅行制限の反動で生まれた「リベンジ・ツーリズム」は、まず若い世代が海外旅行へ踏み出し、次に高齢者が動くといわれています。また規制により自然の中で楽しむ機会が少なかったため、アウトドア体験の需要が増えることもパンデミックが引き起こした現象です。
 パンデミックは全世界を襲い、ほとんどの国で数ヶ月間旅行が停止しました。2年後、ワクチン接種者が増え、各国政府は規制を解除し、人々がより自由に旅行できるようになりました。そのような中、ウクライナ侵攻は、ヨーロッパと世界が直面する新たな課題となっています。

この原稿を書いている今日(2022年4月8日)は、ロシアによるウクライナへの侵攻が始まってから44日目です。スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナの市民がセルビアの侵攻から祖国を守った1991年のユーゴスラビア戦争からわずか30年で、ヨーロッパが新たな戦争を経験するとは、ほとんどの人が想像していなかったと思います。両者の共通点は、旧共産圏からの侵略であることと、スラブ民族の住む地域で起こっていることです。
 1つの世代は25〜30年といわれていますが、新しい世代が自分の意志と関係なく、戦争により心理的、肉体的、物質的、経済的被害など様々な結果を経験しければならないのは不幸なことです。そして侵略された国だけでなく、周辺のすべての国の人々も含め、将来にわたって望ましくない状態に置かれることは、残念なことです。

旅は必需品ではありませんが、ライフスタイルです。だからこそ、終わりがないのです。