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大阪はドバイを超えることができるのか?

万国博覧会(Universal Exhibition)は、FIFAワールドカップやオリンピック競技大会を上回る来場者数を誇る、世界最大のイベントであり、「万博(Expo)」とも呼ばれています。2021年10月~2022年3月まで開催されているドバイ万博には、史上最多の192カ国が参加し、各国が独立したパビリオンを持つのは史上初のことです。

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万国博覧会(Universal Exhibition)は、FIFAワールドカップやオリンピック競技大会を上回る来場者数を誇る、世界最大のイベントであり、「万博(Expo)」とも呼ばれています。1851年に始まったこの世界最大の博覧会は、最新の建築、技術革新、テクノロジー、環境問題などに対する成果を、各国が誇りをもって世界に発信・共有する場となっています。2021年10月~2022年3月まで開催されているドバイ万博には、史上最多の192カ国が参加し、各国が独立したパビリオンを持つのは史上初のことです。
 今回のテーマは「Connecting Minds, Creating the Future(心をつなぎ、未来をつくる)」で、「Opportunity(適時性)」、「Mobility(移動性)」、「Sustainability(持続可能性)」の3つのサブテーマが設定されています。オポチュニティ・パビリオンでは、水やエネルギー、食料などをベースに、生活の質を高めるためのコンセプトや技術が探求されており、SDGsの17のテーマを反映しています。モビリティ・パビリオンでは、人類、車、飛行機、ロケットなどだけでなくIT分野も含め、あらゆる移動に関する知恵が集められ、サステナビリティ・パビリオンでは、最新の天然資源再生技術の成果が発表されています。

当初、ドバイ万博は2020年に開催されるはずでしたが、多くのイベントと同様に、新型コロナウィルス感染症(Covid-19)の影響で延期となり、2021年10月1日から開催されることになりました。182日間にわたり、来場者は幻想的な建築物、演劇、バレエ、詩の朗読コンサート、オペラ、さらには夜のライトニングショーにアクロバット、360度映像など、60以上の日替わりイベントに出会うことができます。さらに200を超えるレストランでは、ミシュランの星を持つシェフたちの、繊細でセンスあふれる世界の料理を味わい、同時にロボットによる料理や、バーチャルリアリティによる食事も体験することができます。
 ドバイ万博は、第一回の万博開催以来続いてきた春夏の時期での開催ではなく、初めて秋冬の開催になりました。クリスマス、大晦日、旧正月、国際婦人デーが、会場内で初めて祝われたのもそのためです。さらに万国子供の日、人権デー、教育デー、幸福の日なども祝福され、世界の市民をひとつにまとめました。
 また最もビジネスとしての強いコンセプトは、万博会場の手前に新しいドバイ・エキシビション・センター(DEC)を建設し、万博の入口に到達するにはDECを通過する必要があるように動線を設計したことでした。これまでの万博は、最新のイノベーションを世界に発信する場として開催されてきましたが、万博会場のすぐ近くに民間と公共の異なるセクターが出展することで、さらなる相乗効果が生まれ、多くのビジネスチャンスが生まれました。
 そのような話題性もあり、2021/2022年の見逃せないイベントとして、リオネル・メッシ、クリティアーノ・ロナルド、イギリスのウィリアム王子、ベルギーのマチルダ王妃とフィリップ国王、ウサイン・ボルト、モナコのアルベルト王子、アンドレア・ボチェッリなど、ドバイ万博には多くのセレブが訪れています。

ドバイ万博の主催者は、テクノロジー、イノベーション、SDGs、ドバイ展示センター、1国1パビリオンなど、多くのコンテンツを組み合わせた、壮大なスケールのイベントをつくり上げ、忘れられない体験を提供しています。そして万博の会場が万博終了後も90%が残され、大型イベントはこうあるべきという象徴の遺産になると知ったとき、私は最も驚きました。

この記事が掲載される3月上旬時点で、すでに1,500万人以上がドバイ万博を訪れており、そのほとんどがアラブ首長国連邦市民で、そして海外からの訪問者も数多くいます。新型コロナウィルス感染症(Covid-19)の影響により、日本を含む多くの国にとって海外旅行がほとんど不可能になったことを考えると、これは素晴らしい成功です。

2025年5月3日、日本の大阪で次の万博が開催されます。どのような内容になるのか、日本がどのように国内外の人々を迎えるのか、まだわかりませんが、ドバイ万博を超えることが簡単でないことは、すでに確実でしょう。

ガンバリマショウ!