海外で日本人が買いたいものとは?

日本人の海外旅行における買い物額は10年以上に渡って減少傾向にある。毎年実施している海外旅行実態調査によれば、2006年に海外旅行をした人の買い物の平均額は約4.6万円で、1995年の10.9万円からほぼ半減した。買い物額が減少した主な要因を読み解く。

早野 陽子

早野 陽子 主任研究員

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日本人の海外旅行における買い物額は10年以上に渡って減少傾向にある。ツーリズム・マーケティング研究所(JTM)が毎年実施している海外旅行実態調査によれば、2006年に海外旅行をした人の買い物の平均額は約4.6万円で、1995年の10.9万円からほぼ半減した。このように買い物額が減少した主な要因としては、次の5点が考えられる。1.酒税法の改正 2.日本人海外旅行経験率の上昇 3.ブランド直営店の進出やアウトレットモール、並行輸入、中古品マーケットなどの浸透 4.喫煙率の減少 5.円安傾向

日本がバブル景気に沸いていた80年代後半から90年代初頭までは、日本人が海外で購入するものといえば、高級酒類・タバコ・ブランド物のバッグや小物類が主なものだった。しかし1989年に酒税法が改正されたことによって酒類のディスカウント販売店が広まり、日本国内でも安価に輸入酒類を購入できる環境が整った。また、日本人の喫煙率が減少し、主な購入品の一つであるタバコの購入額も減少。更にここ10年ほどでブランド専門店やアウトレットなどが国内に浸透し、身近な場所でも比較的手ごろな価格で高級ブランド品を手に入れることができるようになった。最近の円安傾向が海外での買い物に割高感を与えている影響も少なくはないだろう。

しかし、日本人旅行者が海外で買い物をする気持ちがなくなったのかというと決してそうではない。海外旅行目的の上位には必ず「ショッピング」が挙がり、女性にとっては「海外でのショッピングは自分へのご褒美である」という意識にも変化はない。

2007年にJTMとTFWA(世界免税品協会)が共同で実施した海外ショッピング調査では、免税店への大きな不満として「その土地ならではの特産品や土産物の品揃えが良くない」が挙げられた。また、酒類で人気があったのは地ワインや地酒など。その店や場所ならではの限定品への要望も高かった。

日本人は「その時」「その場所」でしか手に入らないもの、体験できないものに目がないと言われる。海外旅行が一般的になった現在では、以前のようにお土産を大量に購入して近隣の家庭や職場の人々に配る、といった行動を期待するべくもないが、日本人に「今買わなければもう手に入らないかもしれない」と思わせるような品揃えやしかけを整えることで、海外での買い物意欲をくすぐることができそうだ。