20代の消費・旅行に関する調査結果第二弾(JTB総合研究所独自調査) ~旅行と年収の関係~

海外旅行に出かける若者が少なくなってきている。かつての20代にくらべて可処分所得が少なくなったのがひとつの大きな要因であると言われている。では、年収が多い若者は旅行の頻度も高いのだろうか?20代の所得と旅行頻度に関する調査から見えてきたものは...。

河野 まゆ子

河野 まゆ子 執行役員 地域交流共創部長

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20代男女の消費に関する調査前回のコラムによると、「30万円あったら」途端に現実味を帯びてくる「旅行」。日々の貯金やボーナスで貯めることができる「30万円」という現実的な金額で、20代はかなり頻繁に国内旅行に出かけていることがわかった。

最近3年間に年1回以上観光目的の国内旅行に出掛けている人は、約8割(女性80%、男性78%)。うち半数以上は年に2回以上と、20代にとって国内旅行は身近なもののようだ。その理由には、温泉や地元の食事などの魅力的な観光素材が豊富で、さらに自身の財布や休暇、同行者との日程などの調整が比較的容易であることなどが大きいと推測される。そのうえ、海外旅行では不安材料となりがちな治安・衛生面や言語の不安がないことも、国内旅行の気軽さを後押ししていると言える。
これを世帯年収別に見た場合、男性は、年収が増えるに従って国内旅行の回数が増える傾向にある。一方、女性は年収200万円未満の層でも男性と比べて旅行に出かける回数が多く、40%以上が年に2~3回以上出かけている。また、200万円以上700万円未満の各層の旅行回数に大きな違いはないが、700万円以上の層になると、旅行回数が大幅に増える。世帯年収700万円が、女性が頻繁に旅行に出かけられるラインのようだ。

一方、観光目的の海外旅行では、男女ともに世帯年収の増加に従って、「これまでに海外旅行経験がない」人の比率が減少する傾向にある。しかし、男性の場合は、700万円以上の層が500~700万円の層に比べ回数が減る傾向にある。また、女性では、500~700万円の層の回数が500万円未満の層より旅行頻度が少ない傾向がみられるが、700万以上の層になると回数が大幅に増加する。
世帯年収と海外旅行頻度との相関はあるものの、男性は年収増に比例して仕事が忙しくなり休暇取得がままならないことや、女性の場合は既婚者で小さな子供のいる世帯など海外旅行へ出掛にくい環境もあるため、一概に世帯年収の差だけが海外旅行の頻度を決める要因であるとは言えないようだ。

次回は、20代の旅行を阻む要因を、国内旅行・海外旅行それぞれについて検証してみたい。

過去3年間の国内観光旅行の回数(世帯年収別/男性)

過去3年間の国内観光旅行の回数(世帯年収別/男性)

過去3年間の国内観光旅行の回数(世帯年収別/女性)

過去3年間の国内観光旅行の回数(世帯年収別/女性)

過去3年間の海外観光旅行の回数(世帯年収別/男性)

過去3年間の海外観光旅行の回数(世帯年収別/男性)

過去3年間の海外観光旅行の回数(世帯年収別/女性)

過去3年間の海外観光旅行の回数(世帯年収別/女性)
出典(上記全て):(株)ツーリズム・マーケティング研究所
「20代の消費・旅行に関する調査」 (首都圏、中京、京阪神在住の20代男女を対象)