家族旅行におけるM字カーブとは?

女性が結婚や出産を機に一度職を離れることが原因で、女性の労働力率は20代~30代頃減少し、M字カーブを見せることは良く知られているが、レジャーや旅行の参加率もある一時期に急減する。その原因は何だろうか?

早野 陽子

早野 陽子 主任研究員

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女性が結婚や出産を機に一度職を離れることが原因で女性の労働力率は20代~30代頃減少し、M字カーブを見せることは良く知られているが、レジャーや旅行の参加率もある一時期に急減する。その原因は何だろうか?

財団法人日本交通公社「旅行者動向2009」によれば、観光リクリエーション旅行のうち、家族旅行は小学生連れでピークとなり、中高生連れの旅行は小学生連れの1/6程度にまで落ち込むが、大人の親子ではまた再び参加率が上昇している。

子供が中学生ともなれば、親離れの時期でもあり、親と一緒に旅行したがらなかったり、自分の友人関係が忙しくなったりなど、様々な要因が影響をしているとは考えられるが、家族旅行の減少に大きな影響を与えている要素の一つとして、中学生の部活動を含む学校での活動の忙しさがあげられる。

全国的にみると、中学生の約62%が何らかの部活動に参加(笹川スポーツ財団 青少年のスポーツライフ2010)している。地域によっては、生徒のほぼ全員が部活動に参加している学校も少なくないようだ。

部活動の試合や発表会などは土日を中心に行われ、また夏休みなど長期の休みでも練習があることが多いため、子供が部活動に参加している限り、休日に家族旅行へ行くことはなかなか困難な状況である。

一方、休み以外の平日に休みを取って家族旅行へ行こうと考えても、成績や受験のための内申点に響くのではと、つい二の足を踏んでしまう親も多いのではないだろうか。実際、推薦入試の条件として年間欠席日数の上限を5日間程度に設定している学校も散見される。また、ゴールデンウィークのような飛び石連休の中日に学校を休めば、ある程度長い旅行に出かけやすいが、そのような日には通常の授業の代わりに様々な学校行事が計画されるため、休みにくいという現状もある。

部活動は子供の社会性を養う場でもあり、何か一つのことに打ち込む経験は好ましいことではあるが、せっかく幼児期から小学生にかけて定着した家族レジャーの習慣が、子供が中学生になった途端に途切れてしまってはもったいない。一度途切れた習慣はなかなか元には戻りにくいからだ。

おりしも政府により、休暇分散化などの取り組みが始まろうとしている。韓国など諸外国でも家族旅行の場合は欠席としない、といった制度を取り入れている国もあるようだ。このような制度を検討することによって、中学生で激減する家族レジャーのM字カーブをもう少しフラットにすることが可能なのではないか。

家族旅行の中のセグメント別シェア

出典:財団法人日本交通公社

 

中学生の運動部やサークル、スポーツクラブへの所属(全国)

出典:笹川スポーツ財団