観光統計2019 特別版 ~2019年の旅行予測~

2019年の旅行・観光について、昨年末JTBは「2019年の旅行動向見通し」を発表しました。その内容に基づき、旅行者を起点とした未来につながる注目すべき動きを紹介します。

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目次

2019年の旅行・観光市場のポイント

  • 日本人の旅行は堅調。緩慢ではあるが長い景気回復期間が消費意欲を底堅く維持
  • けん引者は若者に。日本人の海外旅行市場はわずかながら成長
  • 消費の世代交代が海外旅行から始まる。団塊世代が卒業へ
  • 拡大する訪日外国人市場。「ラグビーワールドカップ2019™日本大会、即位の礼やG20、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催1年前」と、海外から注目を浴びる年に
  • 訪日クルーズ市場に質的な変化

JTB「2019年の旅行動向見通し」はこちら

2019年の旅行市場についての見通し(推計)

2019年の旅行市場についての見通し(推計)

出典:JTB「2019年の旅行動向見通し」より

最新の観光統計

 インバウンド 訪日外国人動向
  アウトバウンド 日本人海外旅行動向

 

1.日本人の消費・旅行意向

長期に渡る景気回復期間が旅行消費を底堅く維持

昨年末に内閣府の景気動向指数研究会は、2012年12月を起点とした日本の景気拡大が長期間続き、高度経済成時代の「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目になったと発表しました。日常生活に大きな実感があるわけではありませんが、昨年の日本人の海外旅行は過去最高、今年もそれ以上が見込まれるなど、旅行を含めた消費マインドは底堅いようです。

日銀による「生活意識に関するアンケート調査」で、前年と比べた暮らし向きの変化の推移を長いスパンで見てみると、2014年4月からの消費税増税の影響はあったものの、日銀の異次元規制緩和が始まった後の2013年から「ゆとりが出てきた」の割合が上昇傾向となり、「ゆとりがなくなってきた」が減少しています(図1)。

(図1)日本人の暮らし向きの変化と旅行

日本人の暮らし向きの変化と旅行

人口減でも期待される海外旅行市場と、始まっている世代交代

低迷していた海外旅行は2016年に上向き始め、特に同年春の卒業旅行から回復が始まりました。雇用環境が改善され、就職率が上がったこと、若手を中心に給与所得が上がったことが背景としてあげられます。景気回復期間が長く続いたこともあり、ここ2,3年の20代(特に前半)の出国率は他の世代に比べて大きく改善されています。今の若者は、デジタルネイティブであるミレニアル世代。彼らは前世代の若者と違い旅行をしています。景気のせいもありますが、親世代が消費を謳歌したバブル世代であることも大きく影響しています。

日本の人口は2010年から減少に転じながらも海外旅行者数は増加し、市場拡大に期待がもたれます。ただしシニア世代の出国率はほとんど伸びていません。個人消費をけん引してきた団塊世代の多くが70代にさしかかり、海外旅行から卒業する人が増えています。消費の世代交代が見えてきました。次世代シニアは若い頃、右肩上がりの経済環境のもとでレジャー消費を楽しんだ世代。海外出張や駐在経験者も増え、団塊世代とは行動や価値観も違います。商品やサービスを提供する側が消費の世代交代による志向の変化に応えられるかがカギとなりそうです(表1)。

(表1)性年齢別出国率の推移

性年齢別出国率の推移

景気回復幅は決して大きくはありませんが、長い期間維持できたことが、消費マインドの向上に寄与したといえそうです。今年10月には消費税増税が控えていますが、年内の旅行への影響は軽微と考えられます。

 

2.2019年における訪日市場の動き

2018年における訪日外国人旅行者数は、台風や地震の影響から、7月以降の伸びはやや鈍化しましたが、12月18日までの累計で初の3000万人台となりました(JNTO)。2019年の訪日インバウンド市場は、引き続き拡大すると予想できます。特に昨年好調だったイタリア、スペインなど欧州や豪州、ベトナム、タイ、フィリピンなど東南アジアには引き続き期待できます。2019年は、ラグビーワールドカップ2019™日本大会、即位の礼やG20、東京五輪開催1年前など世界からの注目が集まる年となりそうです。

訪日クルーズ市場の質的な変化の兆し

訪日クルーズ市場全体は順調に増加していますが、その中身には質的な変化が起きています。

最も大きなボリュームを占める中国からの訪日クルーズ市場は、2013年ごろから大型のカジュアル船が増え、気軽に家族旅行などが楽しめると人気が上昇、また2015年には訪日クルーズ旅行が実質ノービザ化されたこともあり急拡大しました。しかしながら、ここ1年ほどは、中国国内の景気減速と共に、価格競争の激化から淘汰が進み、船会社の中国市場からの撤退や、東南アジアや欧州航路へ一部の船を移すなどの動きが見られます。その結果、中国からのクルーズのボリュームが大きい九州への寄港は2018年の前半にはやや減少したものの、関東や中部などへの寄港は広がっています。

欧米からの訪日クルーズ客については、大型客船だけではなく、飛行機で日本に到着後に、200~300人程度の小型のラグジュアリー客船で日本国内を巡るフライ&クルーズのスタイルが人気で、唐津など比較的小規模な港への寄港も増えており、クルーズと言えば、一度に何千人も訪れるようなイメージは変わりつつあるようです。

クルーズ船による訪日外国人の入国者数

 

2019 年の旅行市場についての見通し(推計)の条件

  • 海外旅行平均消費額は、旅行費用(燃油サーチャージ、空港税を含む)のほか、現地での買物代、食事代等現地消費分を含む。旅行前後の消費(衣類など携行品の購入費用など)は含まない。
  • 国内旅行平均消費額は、自宅を出発してから帰宅するまでの総費用。現地での買物代、食事代等現地消費分を含む。旅行前後の消費(衣類など携行品の購入費用など)は含まない。
  • 訪日外国人は、人数予測のみで消費額は算出していない。
  • 2018年の海外旅行人数実績推計は、法務省発表の出入国者数実績をもとに昨年末推計値を修正したもの。