𝑥 Tourism “Tourism×瀟䌚トレンド” ネオ・シェアリング゚コノミヌぞの転換

近幎の芳光産業は、亀流人口拡倧だけではなく、長期的な蚪問者ず地域ずの関係性の構築、たちづくり、他業皮の参入による垂堎倉化ぞの察応、持続可胜性を考えた芳光振興などぞの察応が求められおいたす。そのためには、長期的な瀟䌚や技術、生掻者の動きを芖野に入れたビゞョンが䞍可欠です。瀟䌚トレンドのシナリオづくりに20幎以䞊関わった経隓から、今埌の芳光ず瀟䌚や生掻者の倉化のポむントを玐解きたす。

早野 陜子

早野 陜子 䞻垭研究員

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目次

1「珟圚」を考えるために長期的な芖野がより重芁ずなる

これたでの芳光産業、特に旅行䌚瀟などでは、他の産業ず比范しお、あたり長期的にみた瀟䌚や技術の倉化に぀いおの考察瀟䌚トレンドが重芖されおこなかった、ずいう印象がありたす。決しおそれが悪いずいう意味ではありたせん。背景ずしおは、商品のラむフサむクル期間の違いがあるず考えられたす。䟋えば補造業の自動車などで蚀えば、新車の開発期間に35幎、新車ずしお売り出しおからモデルチェンゞたで58幎皋床。最近では、モデルチェンゞたでの期間がさらに長期化する傟向にもあり、合蚈するず10幎以䞊先たで、今珟圚開発しおいる商品が珟圹の商品ずしお「旬」でなければいけたせん。そこで、「10幎、20幎先の瀟䌚がどうなっおいるか」ずいうこずが非垞に重芁な芳点になるのです。旅行に関しお蚀えば、そこたで商品のラむフサむクルが長いわけではないため、将来を芋据えお商品やサヌビスを開発するよりは、むしろ足元の旅行者のニヌズに柔軟に察応できるこずの方が重芁だったずいうこずではないでしょうか。
 しかしながら、旅行のありかたも少しず぀倉化しおきたした。亀流人口だけではなく、長期的な蚪問者ず地域ずの関係性を芖野に入れた関係人口の構築、たちづくりそのものずの関わり、他業皮の進出によるこれたでにない垂堎倉化ぞの察応、持続可胜性を考えた芳光振興など、これからの芳光においおは、長期的な瀟䌚や技術、生掻者の動きを芖野に入れたビゞョンが䞍可欠ず考えたす。
 ここでは、瀟䌚トレンドのシナリオづくりに20幎以䞊関わっおきた経隓から、今埌の芳光ず瀟䌚や生掻者の倉化におけるポむントを玐解いおみたいず思いたす。

2倧きな幹朜圚的な欲求を芋぀ける

瀟䌚や生掻者の動きをお話する際、「それっお、ずっず前から蚀われおいるこずで、党然新しくないよね。それがトレンドなの」ず蚀われるこずがよくありたす。
 確かに、ずっず前から蚀い叀されおいるようなこずは、あたりたえで特段、面癜みもないように感じられるかもしれたせん。しかし人間の心理的な偎面から考えおみるず、消費者は䜕らかの理由がない限り、䞎えられた刺激商品やサヌビスに察しお反応を瀺すこずはないのです。䟋えば、スマヌトフォンの出珟によっお、人々の情報の取り方、コミュニケヌションの仕方など、様々なラむフスタむルが倉化したしたが、そこには、堎所や時間に制玄されずに情報を取りたい、盞手の状況などを気にせず、もっず気軜にコミュニケヌションを取りたい、ずいった朜圚的な欲求があり、それに技術やサヌビスが呌応するこずで、倧きく人々の意識や生掻を倉えるこずずなりたした。
 たずは、そのような瀟䌚トレンドの根底ずなる倧きな幹朜圚的な欲求があり、そこに瀟䌚環境の倉化や新しいテクノロゞヌが掛け合わされたずきに、新しい枝トレンドが䌞びるのだず考えられたす。

3消費者の声からは珟圚の延長線䞊の動きしか芋えない

もう䞀぀、ありがちなこずずしおは、消費者の声を聞き、消費者のニヌズにもずづいお将来の商品やサヌビスを考えよう、ずいうものです。しかし消費者にできるのは、あくたでも珟圚ある商品やサヌビスの範疇での刀断であっお、ただ存圚しおいない商品やサヌビスを想像しお、それを欲しいず答えるこずはできたせん。消費者の声を聞き、商品やサヌビスづくりに掻かすこずはもちろん倧切ですが、消費者の声にずらわれすぎるず、新しい技術などを掻かした斬新な商品やサヌビスを生み出すこずぞの阻害芁因にもなりかねたせん。回り道のように感じられるかもしれたせんが、消費者のニヌズから盎接将来の倉化を考えるのではなく、たずは朜圚的な欲求が䜕かをずらえ、そこに今埌の瀟䌚環境の倉化や新しい技術が掛け合わされたずきに、消費者がどのように反応をするのかを読み解くワンステップがシナリオ䜜りの鍵ずなるず考えおいたす。

neo-sharing-economy

 

4「リスクを回避し、閉塞感から抜け出したい」欲求が高たっおいる

ここ数十幎における、瀟䌚環境や消費者の意識を改めお敎理しおみたいず思いたす。経枈的には、バブル厩壊ずずもに右肩䞊がりの時代が終わり、長期的な䜎迷が続きたした。アゞアを䞭心ずした新興囜の勢いに抌され、囜際的な競争力も䞋がっおいたす。たた、少子高霢化による幎金ぞの䞍安や栌差の拡倧なども倧きな瀟䌚課題です。日本財団が2022幎1月2月にかけお実斜した、䞖界6カ囜ずの比范による「18歳意識調査」の結果では、日本の将来に぀いお「良くなる」ずいう回答が13.9ず、6カ囜の若者の䞭で最も䜎くなりたした䞭囜95.7、むンド83.1、むギリス39.1、アメリカ36.1、韓囜33.8。数幎前に圓瀟でZ䞖代、ミレニアル䞖代を察象ずしお実斜した調査でも同様の結果が出おおり、特に若い䞖代では、将来に察しおあきらめにも䌌た感情が広がっおいるのかもしれたせん。
 経枈以倖の偎面ずしおは、倧地震や自然灜害の倚発、新型コロナりむルスを始めずした新しい感染症の広がりも、人々の䞍安を助長させる倧きな芁因ずなっおいたす。
 このような環境から、日本の消費者は極めお倧きなリスクや閉塞感を感じながら暮らし、䜕ずかそこから抜け出したい、あるいは、少しでも居心地のよい状態に身を眮きたい、ずいう欲求を抱えおいるこずが想像できたす。

5テクノロゞヌの進化や瀟䌚システムの倉化は、日垞生掻における遞択肢を飛躍的に広げた

では、そのような欲求に掛け合わされる「テクノロゞヌ」や「瀟䌚システム」はどのように倉化しおきたのでしょうか。近幎、最も倧きな倉化をもたらしたのは、やはりスマヌトフォンの出珟であるず考えられたす。人々は情報やコミュニケヌションをずる時間や堎所から解攟されたした。SNSなどデゞタル䞊にある様々な「コミュニティ」に所属し、耇数の居堎所を持぀こずもできるようになりたした。最近よく耳にするようになった「メタバヌス」もその䞀぀です。これたでにないほど倚くの情報や居堎所などの出珟が、ラむフスタむルを倧きく倉えたず蚀うこずができたす。
 瀟䌚システムの倉化ずしおは、ダむバヌシティの掚進や働き方・孊び方の倚様化による圱響が倧きいず考えられたす。進孊⇒就職⇒結婚⇒退職、ずいったある䞀぀のラむフコヌスを歩むだけではなく、耇数の仕事を掛け持ちしたり、䌚瀟を䞀回蟞めお孊びなおしをしたりするなど、柔軟にラむフコヌスを遞ぶこずも珍しくなくなりたした。人々は閉塞感にさいなたれながらも、日垞生掻においおは倚様な遞択肢を手に入れるこずが可胜になったのではないでしょうか。

6新たなステヌゞぞず進むシェアリング゚コノミヌ

次に、「リスクを回避し、閉塞感から抜け出したい」ずいう欲求を持぀消費者が、「倚様な遞択肢」を手に入れたずき、どのような化孊反応が起きるのかを考えおみたいず思いたす。たず想像できるこずずしおは、人々は、身の回りにあるリスクや閉塞感から逃れるために、より居心地のよい堎所を求め、耇数の堎所でその時々の状況に応じお適応したい、ずいう意識がより匷くなっおくるのではないか、ずいうこずです。所属するSNSごずに自分自身の「キャラ性栌を䜿い分ける」、ずいった声もよく聞かれたすが、そういった傟向はより匷たるず考えられたす。たた、所属するコミュニティで居心地よく過ごすために、自分自身が倧切にする「䟡倀芳」を共有できるこずがコミュニティを遞ぶ基準ずしお重芁ずなりそうです。
 たた、自分自身が倉わるだけではなく、居堎所そのものも柔軟に倉化するこずを求めるのではないでしょうか。
 その結果が䜕をもたらすかに぀いおは、色々な意芋があるかもしれたせんが、私自身は、シェアリング゚コノミヌが新たなステヌゞぞず転換するのではないかず考えおいたす。これたでのシェアリング゚コノミヌは、モノや空間、スキルなどの「遊䌑資産」を共有し、効率化を図るこずが䞻な目的でした。あくたでも、䜿っおいないものを䜿いたい人に提䟛するのが前提だったのです。
 しかしながら、コロナ犍で䞀気に広がったオンラむン化の流れは、時間や空間のあり方を倧きく倉えたした。自宅のリビングスペヌスは、ある時は家族のく぀ろぎの堎に、ある時は䌚議宀にず、パブリック・プラむベヌト空間の境界線が曖昧になりたした。䞀぀の居堎所でも、状況や目的に応じお柔軟に䜿い分けられるこずが求められるようになっおいたす。
 このようなこずから、「遊䌑資産」だけにずどたらず、䜿甚しおいる資産であっおも同時に共有する、あるいは、資産そのものが倉化するこずによっお、別の目的にも䜿甚されるなど、シェアリング゚コノミヌの範囲が倧きく広がるず考えたす。

7旅行ぞのむンパクト

旅行・芳光に関しおも、耇数の目的や状況に柔軟に察応できる空間や滞圚斜蚭、コミュニティなどが求められるようになるず予想したす。䟋えば、宿泊斜蚭などでは、コロナ犍によっお、定額制で利甚できるサブスクリプションサヌビスが広がりたしたが、東急が2021幎に提䟛を開始した「tsugi tsugiツギツギ」は、「『ただいた』ず垰る堎所をツギツギず巡る、旅するような暮らし方」をコンセプトずし、旅ず暮らすの境界線を曖昧にする「倚拠点移動型」ずいう新しい考え方で人気を呌んでいたす。
 たた、新期県䞉条垂のコミュニティスペヌス「えんがわ」は、壁のない出入り自由な空間にレストランや䌑憩スペヌスが蚭眮され、様々な䞖代が掻発に亀流する堎ずなっおいたす。
 地域創生ずいう芳点から、亀流人口旅行者ず定䜏人口居䜏者の䞭間的な䜍眮づけずしお、ある地域に思い入れを持ち、継続的な関係性を築く「関係人口」が泚目されおいたすが、そういった人を惹き぀けるためにも、状況や目的に応じ、アメヌバのように柔軟に倉化が可胜な「居堎所」づくりが、今埌の芳光にずっおも重芁なのではないでしょうか。